コロナ禍で開催困難な中、新たな試み
しかし2020年から、世界はコロナ禍となります。
「WorldTryout2020」、「WorldTryout2021」も、前年のような投打の対による開催は叶わず、室内球技場においての変則的な開催となりました。その方法はラプソードやMotusという最先端機器を用いて投球と打球の測定をしながら、MLBのスカウトに視察してもらうというもの。
大きなイベントが開催困難な中、パフォーマンスを数値化することで、現役をあきらめかけた選手にも新たな発見があり、「まだやれる、まだ通用する」と、選手自身が挑戦する意欲をもう一度湧き起こし、スカウトもまたその数値から選手を評価する基準となることを願い、測定会という形でのトライアウトです。
2020年に参加してくれた元ロッテ・阪神の高野圭佑投手はここから台湾プロ野球へ挑戦してくれました。また、2021年に参加した元中日・西武の小川龍也投手が今年からメキシコプロ球団へ挑戦。元西武・サンディエゴパドレス・楽天の牧田和久投手も参加してくれました。
彼らに共通する、目の前にいるMLBのスカウトに投球をみてもらう以上に、「MLBのスカウトがチェックする箇所にフィットする」よう自分のスキルを向上させようとする気迫が伝わってきました。
測定会での開催は、MLBのスカウトにとっても“数値化したパフォーマンスデータ”を本国に送ることができるメリット以上に、グラウンドレベルで彼らのキャッチボールからの意識や、ブルペンでの気迫といった「気持ちの部分」を間近で感じることが価値であるとコメントしておりました。
これこそがWorldTryoutの魅力です。「気持ちを評価する」という意味では、もうひとつ。WorldTryoutは心技体の「心」をリアルタイムでモニタリングするため、プレーする選手に計測機器を付けてアドレナリン解析を行っております。
重要な一発勝負の場面で100%、それ以上の力が発揮できるかどうかが、プロとアマチュアを分ける大きなポイントになります。大きな舞台で、最大のパフォーマンスを発揮できるよう、アドレナリンコントロールができるよう、データサイエンスの面からもアスリートを支援していきます。
最後に、日本では、12球団合同トライアウトという、NPBを戦力外になった選手が、再びNPBの他球団への移籍を目指し、実戦形式で戦う催しが毎年行われています。ひたむきにもう一度上を目指す選手を応援したいというファンの想いが通常のペナントレース以上に込められた素晴らしいコンテンツであると思います。
トライアウトが戦力外になった選手たちの引退試合にならず、本当にプロへ復帰する、あるいは海外のリーグへチャレンジするきっかけとなることを強く願い、一人でも多くの選手を、国内外へ送り出していけるような舞台を我々も創っていきたいと思います。
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