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風船の中に針金を通す
根元をひねってテープで固定し、形を作る

谷川さんによると、この風船を膨らませない技法は「バルーンフラワー」というもので、バルーンアートの業界では割と知られている方法だという。ただ、手芸に近い手法ということで、風船をひねるのとは全く異なるため、あまり浸透していないのだそう。谷川さんはこの手法を独学で勉強したとのことだ。


ーー作品にはどれくらいの風船と時間がかかるの?

基本的に作品のイメージによって風船の数は左右されますが、一輪の花なら3~10枚程度。大きいサイズのブーケや幻獣の作品なら100枚程度です。ゴムの厚みや扱いやすさなどの品質の違いや、豊富なカラーバリエーションがあることから、問屋から仕入れたプロが利用する風船を使用しています。

制作時間としては一輪の花は15~20分程です。ブーケタイプの作品は2週間~3週間程度で、幻獣に関しては1~3カ月ほど時間がかかっています。

「不死鳥」

ーー制作において、こだわっている点や苦労している点は?

幻獣に関しては、生命感、そこに実際に存在しているかのように感じられる作品になるように制作に励んでいます。また、依頼品に関しては制作の際にご依頼主から出来るだけイメージや相手様の雰囲気や好きな物などの情報を頂戴して、出来る限りイメージに添うよう制作する部分にこだわっています。主にプレゼントギフトとしての依頼が多いため、依頼主の気持ちを代弁できるようなプレゼントにしたいからです。

両方に通ずる苦労する点は、最初のイメージが制作途中で切り替わる事があることです。その時は臨機応変にイメージにあるように制作をすすめます。

「人を導いてくれる幻獣」を作ってみたい

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ーー印象に残っている作品を教えて。

印象に残っている作品は「神鹿–春雷–」です。「春の訪れを告げる森に住む豊穣の神」がテーマです。

本格的に幻獣をモチーフにした作品を作っていこうと決めた時に制作を始めた作品で、2021年に開催された現代アートのコンテストで入選したのも理由です。残念ながらそのコンテストの展示の際に破損してしまって、今では幻の作品になっています。