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「車もバイクも絶対に通れない!」日本唯一の階段国道…“ナゾの分断区間”388メートルはなぜ生まれた?

2022/02/26

genre : ライフ, , 娯楽, 社会

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 国道339号はこの先、階段で丘を上がると向きを変えて南下し、津軽半島の反対側である西側を走り、弘前市へと至る。階段の区間はおよそ388メートルしかないが、高低差は70メートルもある。わずかな距離でこれだけの高低差を稼ぐため、362段の階段が設けられているのだ。

“階段”の上部から下っていく
8月中旬に訪問したが、道の左右には紫陽花が美しかった

 階段の下部には駐車場がないため上部に回り込み、早速階段を下ってみた。階段はしっかりと整備され、道の中央部には手すりがある。訪問したのは8月中旬だったが、道の左右には紫陽花が美しい。紫陽花が8月半ばにピークを迎えるとは、さすが青森といったところだろう。

学校跡に路地国道……

 見事な紫陽花を眺めながら階段を下っていくと、途中で平らになっている場所があった。ここにはかつて竜飛中学校があったが、1984年に廃校となったようだ。現在は平屋建ての避難所と、学校跡を示す石碑が建てられている。ここを子供たちが歩いて通学していたのかと思うと、なんだか感慨深い。

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 中学校跡を過ぎると視界が開け、漁港を見下ろすことができた。私は海が無い岐阜県に住んでいるため、海を見るだけでテンションが上がる。小さな漁船が集積されて織りなす漁港の風景というのは、いつ観ても感動してしまう。

1984年に廃校となった中学校跡。現在は平屋建ての避難所が建てられている
この道はかつて、子どもたちの通学路だった
さらに降りていくと民家が見えてきた

 階段を下りきると、民家の軒先を通るが、近年発生した火災で多くが焼失してしまい、空き地が広がっている。2車線の大きな道路に突き当たるまでは路地を歩くことになるが、この路地も国道なのだ。