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観光地化にあたって階段も綺麗に再整備されたが、個人的には当時のままの階段国道を見てみたかったという思いも強い。
388メートルに詰まった“町の記憶”
階段国道の距離は約388メートル。私が通ってきたように、現在はこの区間を迂回する車道も存在している。通常であればその迂回路を国道に指定し直して、階段は外してしまうところだろう。それでも、観光という理由があるにしても、こうして階段を国道のまま残してくれているのは嬉しい。
階段国道は、ただ単に珍しいと思って眺めるだけでも一見の価値がある。小中学生が急な階段を上り下りして通学していた情景を想像したり、悲願だった青函トンネルが完成したことによって子供たちが去り、廃校となってしまった学校の経緯を考えながら眺めると、より一層、感慨深いものになるだろう。
また、国道339号の魅力は階段国道だけではない。外ヶ浜から階段国道にかけての漁師町の風景、階段国道から中泊に向かうワインディングロードと海添いの眺望、そして十三湖の脇をかすめて五所川原に向かう道のりは、実に変化に富んでいる。ドライブやツーリングの行先に迷ったら、ぜひ国道339号も選択肢に加えてほしい。ただし、雪が解けてから――。
撮影=鹿取茂雄
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