国道といえば交通量の多い、立派な道路をイメージする人が多いだろう。しかし、中には自動車も二輪車も全く通ることができない国道も存在する。例えば青森県内を走る国道339号は、一部区間が階段になっている。そのため、歩行者しか通ることができないのだ。
そもそも道路というのは、多くの人が通ることを前提に造られている。自動車、バイク、自転車、歩行者、車いすなど、乗り物の種類・有無に関わらず通行できるのが理想だ。日本で最上級の道路といえる国道では、なおのことだろう。
高速道路や高規格バイパスとして、自動車専用道路となっている国道も少なくないが、その場合は基本的に歩行者や自転車が通行できるように旧道を閉鎖せずに残している。いくら立派な道路を造っても、特定の乗り物でしか通行できないのでは、道路としての機能を十分に果たしているとはいえないからだ。
場所によっては旧道も国道指定されたままで、同じ番号の国道が2本並行して伸びている区間もある。具体例を挙げると、“名阪国道”の愛称で知られる国道25号の三重県から奈良県にかけての区間がある。ここでは自動車専用道の名阪国道に並行して、自転車や歩行者も通行できるもう1本の国道25号が伸びている。
そのような理由もあって、階段が国道に指定されることは非常に珍しい。工事中の仮設道路ではない常設の国道としては、339号以外に例がない。まさに日本で唯一の階段国道なのだ。
国道339号を走ってみた!
ある夏の日、実際に現地を訪ねてみた。青森市街から国道280号を走り、津軽半島の東側を北上していくと、今別を過ぎたあたりで国道339号にバトンタッチする。
最初は2車線の普通の道路だが、やがてセンターラインが消えて道幅が少し狭くなる。石川さゆりさんの「津軽海峡・冬景色」でも歌われている竜飛岬が近づいてくると、徐々に辺りには物寂しい雰囲気が漂い、北のはずれらしくなってきた。
だが、竜飛崎の直前で国道339号は突然消えてしまう。いや、正確には車道が突然なくなり、道が階段になってしまうのだ。車やバイク、自転車をも拒絶し、歩行者しか通ることが許されない。