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『いいとも!』レギュラーで訪れた転機

「ナベちゃん、そろそろ『いいとも!』で一人でやってみる?」

 あるとき、横澤さんがこんなふうに声を掛けてくれた。

 めちゃくちゃうれしかった。

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『ひょうきん族』の中で、芸人としては下っ端でも、とにかく自分に与えられた役を一つ一つこなし、ときには、勇気を出してウケを取ろうとしていた姿を、横澤さんはちゃんと見ていてくれたのだ。「こいつは一人でも使える」と認めてくれたのだ。

 それはまさに、コント赤信号の渡辺正行からタレントの渡辺正行へと変わっていく瞬間でもあった。

 ちなみに、小宮と石井から、俺だけが抜擢されたときの心境を聞いたことはない。

 喜んでくれてたのかなー。それとも、悔しがってたのかなー。

 まあ、それぞれが一人の仕事を始めた時期だから、人のことなど構っていられなかったのかもしれないが……。

 85年から『いいとも!』の月曜日のレギュラーになってから、数多くのコーナーに出演させてもらった。担当ディレクターで、「ラ・ママ新人コント大会」を一緒に運営してくれることもあった永峰明さんがチーフを務め、さまざまな企画を考えてくれた。

 中でも、俺にとって、一番の出世コーナーと言えるのが「13日の月曜日」!

 ここで、毎週コーラの早飲み対決を繰り広げ、勝ち続けることによって、コーラの早飲みは俺の代名詞となった。

TBSラジオ公式Twitterより

 ただ、87年からスタートした当初は、コーラを早く飲むにしても、対決していたわけではなかった。

 当時、フジテレビ系では、『いいとも!』の後に、小堺一機さんが司会を務める『ライオンのいただきます』が放送されていたが、どちらも、新宿スタジオアルタでの公開生放送だった。

 その際、観客を入れ替えることはなかったため、二つの番組を観ることができた。

「今、お客さんが楽しすぎるんじゃないか? もっと危機感を与えよう!」

 そんなことを永峰さんが言い出し、「13日の月曜日」は始まったのだ。