アメリカを訪れたのは、小学5年生の時に3日間滞在したグアムだけ
「僕自身、アメリカ人とイギリス人が発音をめぐって本気で喧嘩している場面を何度も見たことがあります。英語はもともと、イギリスが発祥の言語ですが、現在はアメリカ英語が広まりつつある。たとえば『サッカー』はイギリスでは『フットボール』と言います。でも、日本では『サッカー』が一般的ですよね? イギリス人からしたら、勝手にアメリカ流に変えるなよっていう感覚で、それをコント仕立てにしてみました」
動画のコメント欄では「発音のエキスパート」とも評されるだいじろー。その発音を耳にすれば帰国子女をイメージしがちだが、実は「日本生まれ日本育ち」なのだ。
「アメリカを訪れたのは、小学5年生の時の時に3日間滞在したグアムだけで、カリフォルニア州には行ったことがありません。ほかの英語圏は、中高でそれぞれ2週間ずつホームステイしたオーストラリア、そして高校の修学旅行で訪れたイギリスぐらいですね」
つまりだいじろーは、英語圏に長期間滞在した経験がない。にもかかわらず、どこでネイティブ並の発音を身に着けたのだろうか――。
発音の違いに興奮し、高1で英検準1級に合格
それは幼少期の頃にさかのぼる。
だいじろーは、北海道札幌市で生まれ育った。一方で母は佐賀県、父は秋田県の出身で、物心ついた時には、家庭内で色々な日本語が飛び交っていたという。
「たとえば母が佐賀の親戚と話す時は佐賀弁で、秋田弁の父とはイントネーションや発音が違いました。それに敏感だったんです。佐賀に行った時に北海道弁を使うと『何それ?』と言われたりして、幼心に傷ついた記憶があります」
小学校高学年の時に英語の個人塾に通ってはいたが、本格的に英語に興味を持ち始めたのは中学2年生の時だ。オーストラリア西部のパースで2週間、英語の研修プログラムに参加した。
「当時、僕は学校で叱られることが多かったんです。たとえば机の位置がずれている、と注意され、廊下を走ってはダメ! お菓子を食べるのはダメ! 大声で挨拶しなさい! ところがパースの学校をのぞいてみると、机はそろっていない、髪も染めている、うるさくしても叱られない。それを目にした時に、国が違うとこんなにも環境が一変するんだと感じたのが、海外に興味を持ち始めたきっかけですね」
だいじろーにとってそれは、日本の常識を覆される、ある種の衝撃的な体験だった。以来、5教科の中でも特に英語に力を入れるようになった。