カーリング娘にマリリン、もぐもぐタイムにそだねー。昔、ドイツにオリバー・カーンのような迫力のある選手がいたような気がする。売り切れ続出だった北海道のお菓子は? メガネ先輩はどこの国の人だったっけ……。

 なんとなく記憶にはあるけれど、明確には思い出せない。応援は盛り上がったけど、正確なルールは把握していない。

銀メダル獲得はロコ・ソラーレというチームの努力の成果だ。カーリング界全体の成功と捉えるのは少し早計に感じる ©JMPA

 そんなふうに、日本におけるカーリングはフィーバーやブームは起きても定着までは届かずに、「4年に一度のスポーツ」から脱却はできていない印象だ。

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 今回の北京五輪ではそれが解消されるのだろうか。フリーランスの書き手としてカーリングを追ってきた立場から、この4年間の進歩と課題を振り返ってみたい。

やはり多かった「もぐもぐタイム」の報道

 もちろん自身の立ち回りも含めて書くが、カーリングを「伝える」という意味での課題は残ったままだ。

 やはり今回の北京五輪も、もぐもぐタイムの報道が多かった。それ自体は特段、悪いことではないと個人的には感じる。ハーフタイムにリフレッシュと栄養補給を兼ねた作戦会議をするのはカーリングのユニークな部分であるし、アスリートが何を食べるのか知りたいというのはファンにとってはどのスポーツでも働く共通の好奇心だ。そしてカーリングを知ってもらう入り口としては、これ以上なくキャッチーな切り口ではないだろうか。

 だからこそ、平昌五輪から4年が経ったいま、そもそもどうして補給が必要なのか、ハーフタイムが明けた6エンド目のリードの2投がどんなにデリケートなものなのか、メディア側はもう一歩踏み込んで報じても良かった。

北京五輪でも話題になった「もぐもぐタイム」 ©JMPA

取材時間は十分とは言いがたい

 もちろん、コロナ禍の影響もある。昨年9月の日本代表決定戦以降は、ロコ・ソラーレの対面取材の機会はほぼゼロだった。その少ない取材機会で、カーリングの面白さや選手の背景に深く切り込むのはメディアとしてはなかなか難しいので、もぐもぐタイムを扱うのは手っ取り早い。

 時間の制約もあった。JCA(日本カーリング協会)が北京への出発前、1月中旬に新聞や雑誌、いわゆるペン記者のために用意してくれたオンライン会見は5選手で20分。銀メダル獲得後、帰国してからのオンライン会見は同じく30分だった。

 調整、設定してくれたJCAにまずは感謝をお伝えしたいが、それでもカーリングの面白さや日本代表が五輪で経験したさまざまな感情やエピソードを紹介するための取材時間としては、十分とは言いがたい。