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地道な活動が芽吹いた4年間

 今回の北京五輪でもショット率をはじめとしたスタッツなどの数字に注目したり、日本は出場していない男子の試合を観戦したり、アイスの難しさに言及したりする、目の肥えたファンが増えたように感じる。

 同時にトップ選手がカーリングの面白さを理解してもらおうと重ねていた努力も大きい。女子のフォルティウスや富士急、男子のコンサドーレやSC軽井沢クラブで平昌を経験しているトップ選手らが、自身があの舞台に立てなかった悔しさや無念といった感情をみじんも出さずに、日本代表のロコ・ソラーレやカーリング全体の応援をしてくれていた。

 JCAが発足させたマーケティング委員会のメンバーを中心に、公式YouTubeチャンネルでライブ配信、通称“カーリング沼”をはじめたのもその一端だ。男女やチーム、現役や所属の壁を超えて、視聴者にカーリングの面白さや魅力を伝えようと尽力した。

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決勝戦後に配信された“カーリング沼”の動画

 それらの地道な活動が芽吹いた4年間だったとも言えるだろう。

カーリングが「4年に一度のスポーツ」から脱却するために

 大きなイベントであった北京五輪が終わったが、カーリングのシーズンはもう少し続く。3月19日には女子の世界選手権がカナダ・プリンスジョージで開幕し、日本代表として中部電力が出場する。

 4月には、ミックスダブルスの世界選手権がスイスのジュネーブで開催される。日本代表ペアはまだ発表されていないが、こちらも4年後のミラノ・コルティナダンペッツォ大会で初出場を目指す日本にとっては重要な大会だ。

 長い五輪シーズンの掉尾を飾るのが、5月21日からアドヴィックス常呂カーリングホールではじまる日本選手権だ。ロコ・ソラーレの凱旋試合でもあるので、また多くの話題を生むだろう。新型コロナウイルスの感染状況にも左右されるとは思うが、もしメディアの来場があるなら、引き続き注目してくれるファンの熱意に応えるような広報体制を敷くことは肝要になってくる。

日本選手権が行われるアドヴィックス常呂カーリングホール ©竹田聡一郎

 例えば、“カーリング沼”はカーリング界にとって非常に革新的で有意義な取り組みだからこそ、今後が大切だ。ここで途絶えると、結果的には「なんだ、五輪人気に乗っかっただけか」と解釈されてしまうリスクもある。頻度や配信の尺は落としても、月1度くらいのペースで定期的に公開することが、次の4年につながるはずだ。このチャンネルが現場とファンの大きな架け橋となり、場合によっては広報を助ける存在になってほしい。

 五輪というマイルストーンがまた去ったいま、次の4年に向けて来季はまた、選手の去就や、国内外の大会、日本選手権アリーナ開催の情報が明らかにされていくことだろう。

 4年前、銅メダルを獲得した直後のフィーバー時に本橋麻里が「4年に一度起きるやつ」と冷静に評していた。カーリングが「4年に一度のスポーツ」から脱却するために、強化、広報の両面であらゆる議論がまずされるべきだ。こんなに面白いスポーツが4年に一度しか注目されないのは、もったいない。