ーーそれでも、帰りとか切なくなりそうですけど。
熊切 そう、切ないの(笑)。あと、次の収録に向かう時に「今日はなにをやらされるんだろう」って少し不安になったり。
「ヤバい! もう仕事なくなる」と滝から飛び込んだことも
ーーでも、結局やってしまうんですよね。
熊切 断ったら仕事がなくなると思ってたので、やってしまってたんですよね。私は泳げないんですけど、8メートルの滝から飛び降りる企画も断れなくて。やっぱり怖くて、2時間ぐらい待たせちゃったんですよ。で、「じゃあ、もういいよ」みたいに言われて「ヤバい! もう仕事なくなる」と思って、急いで飛び込んだりとか。
バンジージャンプは、蛭子(能収)さんが「できない」と言ったので私が代わりに跳んだんです。蛭子さんって、興味ないことはすべて忘れるタイプなんですけど、10年以上ぶりに会った時に「あの時、熊切さんが僕の代わりに跳んでくれて助かった」と言ってくれたのは嬉しくなりましたね。
クワガタに挟まれたり、滝から飛び込んだり、バンジーで跳んだりしていたから、この世界で続いたというのはあるんですよね。
ーー無理していたなあ、と振り返ることはありますか?
熊切 疲労で体調を崩しちゃったこともありますし、いま思えばできない仕事まで全部受けちゃってたなって。
あと、初めてのことは怖さが分からないからできちゃうんですけど、もう一回はできないんですよ。体が怖さを分かっちゃってるから。だから、ずっと体を張り続けることは、どっちみちできなかったと思うんです。
ーー今の芸能界を見ると、変化は感じますか?
熊切 こないだ「さんま御殿」を見てたら、昭和、平成を生きてきた芸能人と令和で活躍する若い子たちが出ていて。昭和、平成組は「とにかく仕事は選ばない。来たものはやる」と言ってたんですけど、令和組は「やりたくないことは絶対やらない。すっぴんで出ろなんて仕事は断ります」って。あぁ~、もうこういう時代なんだなぁって。
ーーどちらの考えが正しいと思います?
熊切 私はなんでもやるべきだと思って若い頃はやってきましたけど、「やりたくないことは絶対やらない」という子たちが入れ替わることなく出続けているのを見ていると、そういう姿勢でも生き残れる世界になったんだなって。
読モさんが出てきた時は「読モでもテレビに出れるんだ」って思われたけど、それが当たり前になったし。いまはYouTuberさんが、いきなり出てくるじゃないですか。良い悪い、正しい正しくないの前に、とにかく変わったんだなって。
写真=三宅史郎/文藝春秋
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