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山添 クリミアの時は、併合を可能とする状況がたくさん整っていました。クリミア半島ではずっと、「キエフから搾取されるばかりで、ろくに扱ってもらっていない」と思っている人が多く、ロシア語系の住民も多かった。「この国よりもロシアの方が将来性がある」といったように、ロシアの方がいいと思う素地があって、かつ、ロシア語のメディアを受け入れられる地域では、人々が加速度的に「ロシアの方が豊かだ」「ロシアの方に入った方がいい」というロシアのメディアによる言説を受け入れやすくなっていました。

 こうした状況が、クリミアでほぼ完成状態にあったのが、2014年2月です。だから、住民投票でも9割以上がロシアへの編入に賛成したのです。ロシアがクリミアを併合できる何重もの条件が整っていた、ということです。

 一方でキエフは、何から何まで違う。ロシアにくっついたほうがいいなんて誰も思っていない。それでもプーチンは、「叩き潰せば統治できる。勝つ」と見込んでしまったわけです。

今後のシナリオは?

――停戦交渉も始まりましたが、今後の展開についてはどう見ていますか。

山添 予想していたよりも、ロシアはちゃんと停戦交渉をしているなと感じています。ですから、まとまる可能性はあるかもしれないです。というのも、これ以上進んだら、SWIFTのエネルギーを含んだ経済制裁をやるということが日程的に見えてくるんです。それが現実になると、ロシア経済はひどいことになる。今も既にルーブルの為替市場などにも影響は出ていますよね。ただ、エネルギーの取引ができないとなると、国民生活は破壊、破滅してしまいます。

 それが見えてくると、さすがに政権はもたないとプーチンにもわかるはずです。ロシア国民だって、黙っていたら生活ができないとなれば、暴動もおこるでしょう。政権の中にいる人もついていけなくなる。ですから、そうなる前に引くという可能性があります。

ロシア国内でも反戦デモが始まっている(2月27日撮影) ©AFLO

 ただ、プーチンは譲歩を最低限にとどめるために、休戦協定なり、和平交渉に入る前に、ウクライナに大きな被害を与えるのではないかと考えられます。相手に被害を与えることで、もうこれ以上やられたら困る、という風に思わせる。ウクライナの政治的要所をとることは今、失敗しているけれども、ただただ破壊するということはまだできます。

 ミサイルを撃ち込むこともできるし、後詰の部隊もある。パイプラインの破壊も少し始まっていますが、これはもっと大規模にやるぞ、というシグナルです。実際にそれをやって被害を大きくし、「ゼレンスキー大統領が逆らい続けているから、こんなにもウクライナ人が死んでしまっているのではないの?」と突きつけて交渉を有利にする、と……。

 私は非常に厳しく考えています。先週から今週までも、ウクライナ人のことを考えると、本当にすごくきついです。何とか収めたとしても、被害は出る。今はそう見ています。

――開戦を受けて、世界が2022年2月24日に変わってしまったというお考えですか。

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