「普通のクイズ番組でもこんなに解説してくれない。一番真面目なクイズ番組」

 クイズ王でクイズ作家の古川洋平は感心したように言った。それは『錦鯉の泳いでいくゼ!』(ABC)での一場面。『M-1グランプリ2021』王者・錦鯉の初冠番組で、初回放送はまだタイトルが決まっておらず、生放送で番組タイトルや今後行う企画を視聴者と一緒に考えていた。『泳いでいくゼ!』は以前、『ゴッドタン』(テレビ東京)で「冠番組を持つとしたら?」という問いに錦鯉・長谷川が答えたタイトル案でもあった。が、タイトルが決定する前に津波警報のニュース速報で打ち切られてしまうという波乱の幕開けだった。

錦鯉(左から長谷川雅紀、渡辺隆)

 この番組で行われたのが「エロ歴史クイズ大会」。その名のとおり江戸の性風俗にまつわるクイズを出題する大会だ。「日本で一番長い川は?」という問いに「長谷川!」と答える長谷川が「バカ」のイメージを払拭したいと「エロ歴史」という狭いジャンルなら勝てるのではないかと企画されたもの。事前に歴史評論家の永井義男からレクチャーを受け、永井作成の問題集を予習。そこからクイズが出題されるため暗記さえすれば100%勝てるというもの。事前レクチャーの際には、先日の『有吉クイズ』(テレビ朝日)でもアダルトビデオ愛を饒舌に語っていた相方の渡辺のほうが長谷川よりも前のめりだったのが面白い。

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 長谷川と対戦したのが古川と、AV男優のしみけん。彼は仕事柄ただエロ知識が豊富というだけではなく『BAZOOKA!!!』(BSスカパー!)の「地下クイズ王決定戦」で優勝するほどのクイズマニア。「四ツ目屋とは何のお店のこと?」という問題に「クイズ王のデータにない」という古川は問題文から類推して「のぞき部屋」と答える。が、しみけんと予習した長谷川の解答は「アダルトショップ」。なんとしみけんは当時の通販カタログまで持っているという筋金入りだ。その後も古川は「小林一茶が24歳年下の妻との性交渉について日記に書き記した一文とは?」という問題に、問題文を作る時、重要な情報を問題文に入れるが、本来言う必要のない「24歳年下」というのが入っているから年齢に関係あるはずとクイズ作家の意図を踏まえて答えを導き出すも「鋭いですけど我々のスタッフにクイズ作家はおりません!」(渡辺)と大誤算。「湯文字」という言葉の意味を「共演した72歳の女優から聞いた」など“生きた知識”を持つしみけんに太刀打ちできない。

 結果、「こんなに僕が優勝に絡まなかったクイズ番組初めて」と古川が唖然とするように長谷川としみけんの一騎打ちに。エロ雑学のひとつひとつも興味深いし、クイズ番組のセオリーから微妙に外れたことで新鮮な興奮があった。

INFORMATION

『錦鯉の泳いでいくゼ!』
テレビ朝日系 土 24:05~
https://www.asahi.co.jp/sp/nishikigoi_abc/