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「見た目は小さな女の子、年齢は800歳を超える吸血鬼。これは児童ですか?」

――この児童ポルノ禁止法の改正案は、どこが問題だったのでしょうか。

赤松 実在の児童を性的搾取や性的虐待から守ろうという目的に関しては、全員の意見が一致しているんです。では何について揉めているのかというと、ついでにマンガやアニメ、ゲームなどの創作物も規制しようとする内容が盛り込まれていた点なんですよね。

――いわゆる「非実在児童」。

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赤松 私の『魔法先生ネギま!』にはエヴァンジェリンという、見た目は小さな女の子ですが、年齢は800歳を超える吸血鬼が出てきます。これは児童ですか?

――絵柄や画風にもよると思います。

赤松 そう。それに、児童かどうかを医者が絵柄で見分ける……、なんて話もありましたけど、それもどうなんでしょう? しかも「児童」と判断されたら、マンガ家は「児童ポルノ製造罪」に問われ、漫画単行本を持つ読者は、麻薬や銃を持っているのと同じように「単純所持罪」に問われてしまう。これはマンガ界にとって大きなダメージです。

 結局、私たちが異を唱えたことで、どこにも被害者が存在しない創作物に関しては、規制対象外にすることができました。

 

――なるほど。

赤松 あるいは2014年にTPPによる著作権の非親告罪化、2018年の青少年健全育成基本法など、二次創作を含む創作物の表現が規制される動きに対しては、すぐに国会議員に陳情に行きました。それこそ児ポ法のときには、与野党のいろいろな議員、法務大臣、副大臣、衆議院法務委員会の理事にも会いに行きましたよ。

 

――いわゆるロビイングですね。

赤松 ただ、私ひとりで行ってもなめられてしまうでしょうから、漫画家協会のちばてつや理事長(『あしたのジョー』『あした天気になあれ』など)や松本零士常務理事(『銀河鉄道999』『宇宙戦艦ヤマト』など)に同行をお願いするわけです。

 そうすると、議員たちは結構喜んで話を聞いてくれるんですよ。大御所の議員に「表現の自由は大切だ!」と言ってもらえれば、他の議員の方々だって「わかりました、善処します」となる。そうしたら、後の具体的な法文については私が協議するわけです。

――みなさん、若い頃に一度は読んでいますもんね。

赤松 それから2019年には、著作権法の改正案で「侵害コンテンツのダウンロード違法化」によって「スクショが違法になってしまう」という問題がありましたよね。