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「政治家になっちゃったほうが早くて確実だよ」「いや、それはないな」

 

――映画や音楽を違法配信と知りつつダウンロードするのは違法ですが。

赤松 それをマンガなど静止画にも当てはめようとした動きですね。法案の対象範囲はとても広く、二次創作イラストの保存やスクリーンショットさえ違法になる可能性がありました。

 このときは出版社が文化庁と組んで勝手に進めていたんですけど、われわれ日本漫画家協会が「マンガ家を守るための法律なのに、なんでマンガ家の話を聞かないの?」という正論で、自民党の総務会まで行った法案をひっくり返しちゃったんです。

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――当事者が不在だった、と。

赤松 文科部会や政務審議会を通過した法案を総務会で差し戻すのは、かなり異例なことです。結局、2019年の文化庁案は廃案になり、2020年に法案が再度提出されました。

 この時、ようやく漫画家協会もダウンロード違法化の会議に呼ばれるようになりまして、新しいダウンロード違法化を含む著作権法改正は山田さんが事務局長としてはじめて法案を通し、衆参全会一致で可決しました。このとき私は国会に参考人として呼ばれています。

 やっぱりこういうことが続いて、「私のような活動をする人材が必要なのかな?」と感じるようになりました。

――その時点でも、まだ政治家になる意思はなかった?

赤松 なかったですね。山田さんからは「ロビイングするよりも、赤松さん自身が政治家になっちゃったほうが早くて確実だよ」とお誘いを受けていたんですけど、ちょうど『UQ HOLDER!』の連載中で、2017年にはアニメ放映もしていたので、「いや、それはないな」と。

 

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 周囲からの「政治家転身」の誘いに、「それはないな」と返していた赤松氏。しかし、そこに転機が訪れた。後編に続く。

写真=佐藤亘/文藝春秋