傷つき悩む人々に寄り添う、一匹の犬がいた──。『少年と犬』は、2011年の東日本大震災で飼い主と離ればなれになった犬”多聞”が、北から南へと旅するなかで、さまざまな人々との出会いと別れを繰り返す物語です。
馳星周の直木賞ベストセラーを、名作『星守る犬』の村上たかしがコミカライズ。2021年8月から文春オンラインで連載され、大きな反響を読んだ話題作がこのたび最終章を迎えました。
無職の男と迷い犬
震災から半年後の仙台で、無職の男・木村は迷い犬の“多門”と出会う。金に困っていた木村は多聞を連れ、外国人窃盗団のドライバーを務めることになる。
多聞は、窃盗団のリーダーであるミゲルにも“守り神”として重宝がられる。また、認知症で寝たきりだった木村の母親を元気にさせる。多聞には、人を癒す不思議な能力があった。
しかし木村は、窃盗団とヤクザとのトラブルに巻き込まれ、生死不明の状態に。その渦中で、多聞はミゲルに連れ去られてしまう……。