最期まで前向きに考えてきた親子なので、ちゃんと見せてあげられれば良かったな。それだけが後悔ですね。
また、母のように高齢で亡くなる人もいますが、若くして病気や事故で亡くなる方もいます。それぞれの方が見送られるとき、みんな何を着るんだろうって思ったんです。私は、自分が持っている洋服で、最期に着たい服なんて無い。それなら、私もウエディングドレスのようなドレスを着たいな。最期まで、自分らしく生きるための表現のひとつとして、エンディングドレスを自分で選べたらいいな――。そう思って、今年の母の一周忌を目標に、今エンディングドレスのブランドを立ち上げていく準備をしています。
介護は均等じゃない
――今、介護をしている方、これからする方にとって、新田さんはどんなことが大切だと思いますか?
新田 先ほどお伝えした、言いふらし介護。あとは、今のうちから家族で信頼関係を築けば、あとが楽です(笑)。働きざかりで忙しい方も多いと思いますが、コミュニケーションを取っておけば後々楽ですよ。家族の役割分担もなんとなく決めておくといいでしょうね。
また、こうやって介護の話をするようになって色々な方とお会いしましたが、兄弟で均等にお世話をしているところは、一つもありませんでした。どちらか1人の人に掛かる負担が大きいんです。
大まかに決めておくだけも
だからもし、自分が主な介護者じゃなかったとしたら、介護されている親御さんじゃなくて、介護している兄弟、もしくはお嫁さんとかご家族にこそ「ありがとう!」と伝えてほしいですね。お土産も、親御さんよりも介護をしている人に持っていってくださいって。うちは、たまに遠方から年数回姉が母を見に来ましたが、やっぱり母が嬉しくてはしゃいじゃうんです。でもその分、母は翌日にはグッタリして下痢をします。それを見るのは兄か私ですから。だから、母にお土産を持ってきても、心の中で「お兄ちゃんと私にも持ってきてよ!」って思ってました(笑)。
仕事の都合や遠方にいる人はなかなか難しいと思いますが、それも前々から分かっていることですから。手が出せないならお金を出して誰かにお願いするとか、施設はどうするのかとか、そういったことを大まかに決めておくだけでも、違うと思います。
(撮影:石川啓次/文藝春秋)