大阪府の郊外に、突如として西洋の城が現れた――。
まるでアニメかゲームの冒頭のような話だが、その城は大学の敷地内に現れたという。一体、だれが何のために建てたのか。真相を究明すべく、記者は新幹線に飛び乗った。
異様な存在感…高さ20メートルもある「城」
大阪駅から電車に揺られること50分、最寄り駅からさらにバスで10分。たどり着いたのは奈良県と大阪府の県境にある山のふもと。大阪芸術大学である。大阪府南河内郡にあり、『新世紀エヴァンゲリオン』の庵野秀明や、『翔んで埼玉』の魔夜峰央などを輩出している関西屈指の芸術大学である。
キャンパスは東西に広がる横に長い形をしており、中央を通るスロープの左右に各校舎が並んでいる。コロセウムのような円形広場があったり、入り組んだ構造の迷路のような校舎があったり。さすが芸術大学というような面白い建築はみかけるが、肝心の城は見当たらない。しかしふと校舎と校舎の間の路地に目線をやったその先に、白い壁に青い屋根の城が建っていた。
キャンパスのはずれにあるサッカーコートほどの空き地にそそり立つ高さ20メートルほどもある城。周囲には高い建物が一切ない小高い丘に位置していることもあって、異様な存在感を放っている。
「これは昨年11月に完成したキャラクター造形学科の新校舎です」
誇らしげに「新校舎」の紹介をするのは大阪芸術大学の副学長であり企画広報部長でもある塚本英邦氏である。この城型校舎建設プロジェクトの担当者として現場で指揮をしていた人物だ。城が建設される経緯をすべて知る“キーマン”が新校舎の案内役を買って出てくれた。