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最初のデザインは「こんなん城ちゃうやん」

「城と言ったらノイシュヴァンシュタイン城やろということで、建築家にはドイツに視察に行ってもらいました。ところが、帰国後に見せてもらった模型は『こんなん城ちゃうやん』というものでした。本物は奥行きがあって城というよりは教会のようなんですよね。

 それから、ああでもないこうでもないと様々なアイデアを出しました。南国のお城や信長がモンゴルまで侵攻して建てたお城といったコンセプトまで検討しました」

 だんだんとノイシュヴァンシュタイン城からは離れていったと語る塚本氏だが、1階から4階まで吹き抜けになっているエントランスは教会を思いおこさせる作りになっている。様々なデザインを検討する中で、それぞれの要素を取り入れたデザインになっていったのだろう。

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吹き抜けは4階分の高さがある ©文藝春秋

 気になるのは学生たちの反応だ。実際にこの校舎で学ぶ学生たちは、突如キャンパス内に現れた城にどういった反応を示したのだろうか。

「工事中から学生たちは『なんやなんや』と気になっていたようです。完成してからは毎日のように着ぐるみを持ち込んで撮影したりして、面白がってくれているようです。町長からは『新しい町のシンボルにしたい』なんて言っていただきました。SNSには変なことを書いている人もいましたが、きっとスマホの小さな画面で見てしまったのでしょうね。そういう人にこそ本物を見てほしいものです」

エレベーターホールには椅子と机が。引き出しにはまだ何も入っていなかった ©文藝春秋

 冷たい風に吹かれていたせいか、急に催してトイレに行くと、そこにも非日常は広がっていた。レンガ造り風の壁に木目調の仕切り、丸い鏡の前にはディズニープリンセスが立っていそうだ。このトイレも塚本氏のこだわりが反映されているという。