1ページ目から読む
2/5ページ目

 キャラクター造形学科は2005年に新設された学科だ。漫画、アニメ、ゲーム、フィギュアアーツの4つのコースに分かれ、「魅力的なキャラクターを作り出す」ことを学ぶ。

 現役の漫画家やゲームクリエーターといった実作者を講師陣にそろえ、実作に重きをおいた教育をしている。学内でもトップレベルの人気を誇り、著名人も輩出している花形学科だが、今まで学科独自の校舎を持っていなかったという。

「キャラクター造形学科が新設された時、独自の校舎を用意してやれなかったことが理事長のなかでずっと気がかりだったみたいなんです。それで他の新設学科のための新校舎建設が終わった2019年に、キャラ造の新校舎を作ろうということになったんです」

ADVERTISEMENT

エントランスを入ってすぐの吹き抜けエリア。この日は卒業制作展が行われていた ©文藝春秋

理事長の鶴の一声「漫画とかアニメと言ったら城だよね」

 新校舎の前に立つと改めて、その学校らしくない意匠に、自分が取材ではなく友人の結婚式に呼ばれたのか、もしくは千葉県の夢の国に遊びに来たのではないかと錯覚してしまう。様々な議論が重ねられ、あらゆる候補の中から選ばれたのだろうと思いきや、新校舎を建てると決まったのと同時にデザインは城にすることが決まっていたという。

「『漫画とかアニメと言ったら城だよね』と理事長がおっしゃったので、最初から『城を作ろう』という企画でした。もちろん、他のデザイン案はありません。その時、少し戸惑った職員もいたようですが、『はあ、城か。面白そうやな』『まあ、キャラ造やしな』といった反応が多かったですね。トップが『城作れ』言うてるし、それ以上面白いアイデアも出ないので反対意見はありませんでした」

新校舎の入り口 ©文藝春秋

 城を作る、という命題のみが決まり、どういう城を作るのかという細部は塚本氏の裁量にゆだねられた。塚本氏いわく、完成したデザインのベースになっている城があるという。東京ディズニーランドにあるシンデレラ城のモデルとしても有名な、ドイツのノイシュヴァンシュタイン城だ。