「私たちがですね、その京都府連を通じて買収資金、そういうことはですね、“頭の片隅”にもありません。あくまで党勢活動ということで京都府連は処理をしているわけでございます」

 3月2日の参議院予算委員会。立憲民主党の杉尾秀哉参院議員による質問に対して、二之湯智国家公安委員長はきっぱりと言い切った。

かつて京都府連会長だった二之湯大臣

『文藝春秋』2月10日発売号および『文藝春秋digital』にて、筆者は、「マネーロンダリング」と呼ばれる自民党京都府連の選挙買収疑惑を報じてきた。それらの記事では裏工作が詳細に記された府連事務局長の「引継書」や、各選挙区の候補者が誰に配るかが記された「買収リスト」などの内部文書も公開している。

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 公職選挙法の時効は3〜5年であり、昨年の衆院選を含めた国政選挙において陣頭指揮を執ってきた京都府連会長の西田昌司氏に説明責任があることは言うまでもない。

二之湯智・国家公安委員長

 ただ一方で、元府連職員、元国会議員、市議・府議などの地方議員が証言した内容について、国会で否定し続けてきたのは二之湯大臣である。だが、二之湯大臣は、過去に京都府連の会長を務めており、「マネーロンダリング」のスキームを知らないはずがない。

 国会という国権の最高機関においての国務大臣の発言は重い。国務大臣はその発言についての真偽を常に問われるのは当然のことだ。ましてや国家公安委員長は公職選挙法を摘発する警察機構を管理監督する立場なのである。

二之湯氏の関与を示す内部文書

 いま筆者の手元には、二之湯氏のマネロン買収への関与を示す内部文書がある。

《来夏に施行される参議院議員通常選挙における府議会議員・京都市議会議員に対する活動費の支給について》という文書だ。日付は平成24年12月19日。その翌年の7月21日には西田昌司氏が参院選で2度目の当選を果たしている。

 宛先は《自民党京都府連 会長 二之湯 智 殿》、起案者は《自民党京都支部連合会 幹事長 U 事務局長 N(*文書では実名)》となっている。

内部文書のプロパティ。作成者の欄には京都府連・N事務局長の名前が記されている

 筆者は内部文書の元データも入手しているが、文書のプロパティに記された作成者はN氏。つまり京都府連のN事務局長が作成し、二之湯氏に提出した文書ということになる。