『文藝春秋』3月号(2月10日発売)で報じた自民党京都府連の選挙買収疑惑。国政選挙のたびに候補者が府議・市議に対し、一律50万円を配布する選挙買収の実態を明らかにした。また記事では京都府連の事務局長が作成した《引継書》を公開。ここで【選挙区支部(国会議員)】→【京都府連】→【府議・市議】という50万円配布のスキームが「マネーロンダリング(資金洗浄)」と記されていたことも報じた。
国会でも追及されたこの「マネロン選挙買収」問題が新たな局面を迎えている。
西田議員らを刑事告発
京都府内の弁護士グループが府連会長の西田昌司参院議員らを公選法違反容疑で刑事告発する準備を進めているのだ。告発対象は2019年参院選で当選した西田議員のほか、田中英之文科副大臣(京都4区)や本田太郎外務政務官(京都5区)ら昨秋の衆院選候補者6人などである。
筆者は、今回、新たな当事者の実名証言を得ることができた。2012、2014年の衆院選で京都2区から出馬した上中康司氏である。上中氏は50万円配布の事実を認め、「もちろん選挙の金だと認識していた」と語った。
――衆院選では地方議員にお金を配布したのか。
「当時は、こういうシステムなんだと何ら疑うことがありませんでした。私は選挙の候補者でしたから、客観的に考えられなかった。地方議員に動いて頂かなければ、到底、当選なんてできないのです。400万円(上中氏は8人の地方議員に配布)を渡さなければ、選挙で戦えないと思い込んでました」
――選挙買収という認識はあったのか。
「府連で配ってもらい助かりました」
「(50万円が)選挙の金だと、もちろん認識していました。(府連の説明では)『活動資金』という名目でしたが、(選挙直前なので)それ以外に考えられないですよね」
――府連に献金して、地方議員に配るという形だったのか。
「府連からは『直接渡すのはよくないので一旦、府連に入れてもらう。そして府連から地方議員の先生に配ることでスムーズに行く』と説明されました。私も一人一人に(50万円を)持っていったら大変なので、府連で配ってもらった方が助かりました」
――50万円の配布は誰の指示なのか。