視聴率低迷に悩むフジテレビが打ち出した「ネクストキャリア支援希望退職制度」が衝撃を呼んでいる。「勤続10年以上、50歳以上」を対象に、今月31日での退職者を募ったが、沈み行く船から逃げ出すネズミのごとく“脱出者”が後を絶たない。

「有能な人間から辞めていく」

 その内情を徹底リポートする。

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苦境のフジで就任した“実務派社長”

 コロナ禍などでスポンサー市況が低迷するいま、どこのテレビ局も四苦八苦している。在京キー局は不動産、通販など、本業である放送業以外に活路を見いだそうとしているが、そんな中でもフジテレビの苦境は特に厳しい。スポンサーにアピールするための肝心の視聴率が低迷したままなのだ。

 80年代から90年代前半、00年代後半と年間視聴率3冠王を連続してわが世の春を謳歌したのも遠い昔。現在は在京キー局の中では日テレ、テレ朝に遠く及ばず、TBSと3位争いをしている。

 昨年6月には2019年に代表取締役社長に就任した遠藤龍之介氏(65)を、わずか2年で代表権のない取締役副会長に棚上げ。親会社のフジ・メディア・ホールディングス(FMH)の金光修社長(66)がフジテレビ社長も兼任で就任した。

フジテレビの人気を支えた男性アナウンサー。左から伊藤利尋氏、笹井信輔氏、境鶴丸氏。境氏は今回の早期退職制度を利用して退職する

「遠藤副会長は芥川賞作家の遠藤周作氏の長男で、業界での知名度は抜群。人柄も明るくて、人望もある。だけど、歯止めがかからない業績低迷で、実務派として知られる金光社長の登板となった。『スカイパーフェクトTV!』の命名や、昨年発覚したFMHの放送法外資規制違反の事態収拾など、その手堅い経営手腕も評価が高い」(スポーツ紙芸能デスク)

 そんな金光社長がコロナ禍に打ち出したのが、「50歳以上の社員に第2の選択肢を与える」という早期退職者募集だ。募集が開始された後、フジテレビに衝撃が走った。2018年に終了したバラエティー番組「めちゃ×2イケてるッ!」の総合演出で知られる片岡飛鳥氏(57)が応募したからだ。