東京から北に向かう電車に乗っていると、「あ、このへんから北関東かな」と思う瞬間がある。車窓を見ているとそれは一目瞭然だ。
JR宇都宮線ならば、大宮駅あたりまでは東京と地続きの大市街地が続いている。それが大宮を過ぎると状況が変わり、車窓には田畑が目立つようになって、駅の周りに住宅地、また田畑が続いて住宅地の繰り返しになるのだ。
東武スカイツリーラインに乗っていてもそうで、春日部駅を過ぎると見える景色はそうした田畑&住宅地&田畑へと変わっていくのだ。ただただ市街地が続いているのではなく、田んぼや畑が増える。それが、個人的には“北関東”かそうでないかの境目ではないかと思っているのだ(もちろんバカにはしていませんよ、あしからず)。
で、北関東というと東京、それもどちらかというと神奈川よりに住んでいるとだいぶ遠くに感じられてしまうのだが、実際には直通列車もたくさん出ているのでアクセスは意外に楽ちんだ。たとえば、今回やってきた久喜駅である。
半蔵門線“ナゾの終着駅”「久喜」には何がある?
東武伊勢崎線とJR宇都宮線が交わる埼玉県内にある久喜駅だ。遠く東急田園都市線の中央林間駅からの列車がやってくるいわば東京方面からの“終着駅”のひとつだ。
たまプラーザやら二子玉川を経て渋谷からは東京メトロ半蔵門線へ。青山や永田町といった東京の中心を抜けて押上からは東武線に入り、スカイツリーのふもとから越谷や春日部を抜けてようやくたどり着く。
たとえば12時ちょうどに中央林間駅を出発する電車に乗ると、久喜駅に到着するのはなんと14時7分。2時間以上、新幹線なら東京から名古屋を通り越して京都についてしまうくらいの長旅である。
といっても、新幹線じゃないので実際にそんな長距離を乗るような酔狂な人はいないだろう。運転士さんや車掌さんも会社境界で入れ替わっているから、長旅をしているのは車両だけ、ということになる。
そんな車両の気持ちになって……と行ければいいのだろうが、さすがに中央林間までいちど出向くというのはムリがある。そこでやむなく新越谷駅で武蔵野線から乗り換えて久喜駅に向かった。それでも新越谷~久喜間は30分近くかかるのだからなかなかの旅だ。