アラウンド90の活躍が目立つこのごろですが、今年の出版界でも佐藤愛子さん著『九十歳。何がめでたい』が100万部を突破して話題をさらいました。さかのぼると、宇野千代さんは100歳を前に『私 何だか死なないような気がするんですよ 心とからだについての282の知恵』を書き、今年105歳で亡くなられた聖路加国際病院の医師・日野原重明さんは90歳を過ぎて書いた『生きかた上手』がベストセラーに。文春オンラインで紹介された長寿著者の本をふり返り、魅力を探ります。
私の本がこんなに読まれるなんて、世も末です――佐藤愛子
「私の言うことなど誰もわかってくれないと思っていましたからね。『そうか、こんなにわかってくれる人がいたのか』と嬉しい気持はあります。でもね、私の本がこんなに読まれるなんて、世も末ですよ(笑)」とインタビューに答える佐藤愛子さん。『九十歳~』とほぼ同時期に刊行された新書『それでもこの世は悪くなかった』もベストセラーとなりました。著者インタビューを2本お届けします。
・著者インタビュー
93歳“荒らくれ女”の幸福論
『それでもこの世は悪くなかった』と語る佐藤愛子の波乱に満ちた人生
安楽死で死なせて下さい――橋田壽賀子
脚本家の橋田壽賀子さんは今年92歳。「安楽死で死なせて下さい」という提言が多くの支持を集めて、「文藝春秋読者賞」を贈られました。その内容をもとに本にした『安楽死で死なせて下さい』は人気脚本家の本音が綴られています。本書刊行記念に行なわれ、たくさんの方に読まれた著者インタビューを紹介します。
・著者インタビュー
橋田壽賀子と安楽死#1「そろそろ、おさらばさせて下さい」という権利があってもいい
橋田壽賀子と安楽死#2「子どもがいないから可哀そう」と言った友人の可哀そうな最後
子どもは面白いと思ったらすみずみまで見るものです――かこさとし
子どもたちに大人気の絵本『だるまちゃんとてんぐちゃん』の作者・かこさとしさんは、88歳のときにエッセイ集『未来のだるまちゃんへ』を出版しています。「子どもというのは、絵本の読み聞かせのときなんかも面白くない場合でも、聞けば『面白かった』でおしまい。だけど子どもが、『これは面白い!』と思ったら、すみずみまで見るものです」と、語っています。3回にわたり公開されたロングインタビューをまとめて紹介します。
・著者インタビュー
子どもの鋭い感性に目を向けて――国民的絵本作家から全ての親子へ、未来への希望のメッセージ(前)
騒いで動くのが、子どもの仕事――国民的絵本作家から全ての親子へ、未来への希望のメッセージ(中)
長女が語る、父・かこさとしの子育て――国民的絵本作家から全ての親子へ、未来への希望のメッセージ(後)
不幸になることを考えたってしょうがない――吉沢久子
家事評論家として多くの著書をもつ吉沢久子さん。98歳当時に、前向きですね、と言われて「人って自分の思い通りにはならないけど、それで幸せになる人もいるっていう事を考えた方がいいのかも。不幸になることを考えたってしょうがないもんね(笑)」と答えています。生活エッセイ『もうすぐ100歳、前向き。 豊かに暮らす生活術』の文庫化に合わせて行なわれたインタビューより。
・著者インタビュー
毎日を自分らしく、ポジティブに生きる人生の達人(前編)
がんばらんでいいの――桧山タミ
桧山タミさんの『いのち愛しむ、人生キッチン』はレシピ付きの人生訓。現在6刷のベストセラーです。92歳のタミ先生は九州地方の料理研究家で、教室には親子2、3代で通う人もいるそうです。人気の秘密は伝統的な和食を学べることと「タミ先生の話が聞けること」。ベストセラー解剖に登場した本書を、担当編集者が解説します。
・文春図書館 ベストセラー解剖
「がんばらんでいいの」92歳料理研究家が贈る魔法の言葉
100歳まで健康に――おまけ
最後に著者でなく、健康ノウハウ本を。『百歳まで歩く 正しく歩けば寿命は延びる!』は人生100年に備えてなのか30代の読者が多いそうです。これからの世代が100歳すぎても健康で読書ができることを願いつつ。
・文春図書館 ベストセラー解剖
100歳まで歩くノウハウが30代にウケた理由とは?