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「薬師寺の奉納では、菩薩さまへお参りしたときに号泣してしまったんです」 日本初アクション派女優の志穂美悦子さんが“花創作家”に転身した“意外な”きっかけ

「薬師寺の奉納では、菩薩さまへお参りしたときに号泣してしまったんです」 日本初アクション派女優の志穂美悦子さんが“花創作家”に転身した“意外な”きっかけ

志穂美悦子さんインタビュー#1

2022/03/23

「思いきって飛び込んでみなさい」という意味に捉えて

――その花会式という行事は、いまは3月25日から3月31日にかけて年に一度、900年以上前から行われている大きな法要だそうです。そういう歴史のある式に関わるのは、かなり大きな決断だったのでは?

志穂美 実は、最初は「私には光栄なお話ですが難しいです」とお伝えしました。だってそのときの私は、その写真集に載せたような、テーブルの上に載せるくらいの大きさのアレンジメントしかつくったことはありませんでしたし、そのうえそんな伝統のある行事に関わるなんて、とても自信がありませんでしたから。

薬師寺の住職の言葉が、志穂美さんの心を動かしたという

 そうしたら、住職さんが「人はいくらがんばったとしても、本来できるかもしれないことが、時機によって水のように流れてしまうことがあります。これも仏様のご縁なので、やってみてはどうですか…?」とおっしゃったんです。

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――運命的なもの、ということでしょうか。

薬師寺の修二会花会式で展示した作品

志穂美 その言葉を私は「思いきって飛び込んでみなさい」という意味に捉えて、ありがたくお引き受けさせて頂こうと思いました。それが花会式の10ヶ月前のことでしたね。

――それからどんな準備をされたんですか?

志穂美 まずは、足繁く通い住職さんやお坊さんの説法をおうかがいしながら、薬師寺の歴史を頭に入れることから始めましたね。そのうえで、1300年を超える歴史に対峙するには、私の肉体が耐えられないと思ったので、並行してフィジカルのトレーニングも開始しました。肉体派の考えですね(笑)。

薬師寺修二会花会式にて、供花奉納時の志穂美さん

――これまでのものより、大きな作品になることもありますし。

志穂美 ええ。自分の身体よりも大きなものを活けることも学ばなくてはいけなかったんですよ。ですので、師事していたフラワーアレンジメントの先生に、まず等身大のものを活けることを教えてもらい、トレーニングしていきました。