1ページ目から読む
4/5ページ目

「クレイジーな車好きたちから話が持ち上がり……」

 旧車事業を立ち上げたとはいえ、レストア作業は一朝一夕でできるようなものではない。レストアのノウハウを確保するうえで、KINTOは方々からの手助けを必要とした。

「もともとKINTOやトヨタにいるクレイジーな車好きたちから話が持ち上がり、プロジェクトとしてやってみようと。KINTOはプラットフォーマーとしてお客さんとつながる場を提供し、レストアの技術的な面では、トヨタの技術部と、以前から旧車整備を手掛けてきた新明工業の手を借りることになりました」(同前)

レビンの作業に取りかかる新明工業のベテラン勢

 レストアのフローとしては、トヨタの技術部の目利きがインターネットや街角情報をもとに車を選び、KINTO側の担当者と現車を確認しながら仕上がりのイメージやレストアの方法について検討していく。この方針をすり合わせる段階からして、かなりの時間を要するという。

ADVERTISEMENT

「たとえばレビンを買ってきた時には、皆でぐるっと車両を見て、ホワイトボードに直し方のアイデアをバァーッと書き出し、それについて延々と話し合うような感じでした。我々の間でも全然好みが違うんで、どんどん話が横道に逸れていって、結局まとまらないんですけどね。でもそれが楽しいっていう」(同前)

クルマ談義の楽しさについて語る布川氏

 好きなものについて、ああでもない、こうでもないと意見を交わす。旧車に乗ることはもちろんだが、このような談義も旧車の醍醐味と言えそうだ。

「車の弄り方を見て、コレだよコレ、みたいに言われるのも嬉しいですし。違うんだよな、って言われるのも楽しいですね。違うんだよな、って言っている方もそれで楽しんでいるんですよね」(同前)

 KINTOとしては、こうした「クルマ談義」の輪に一般ユーザーも巻き込んでいきたいと考えている。

「旧車のファン層の趣味嗜好がとても広いので、車のコンセプトはどこにも合わせられないんですね。なので方針を定めてやるというよりも、社内の人間と、Vintage Clubのフォロワーでガヤガヤしながら決めていく、という感じですね」(同前)