車種のバリエーションは意外な方法で決められた
車種の選定にあたっては、トヨタ博物館主催のクラシックカー・フェスティバルにおいて、年代やジャンルごとの人気投票を行った。会場が愛・地球博記念公園だったこともあり、旧車マニアのみならず親子連れも多く投票に参加していたという。
「これ乗ってたんだよとか、ずっと乗りたかったんだよとか、親が乗ってて……とか。なかには『これ作ってたんだよ』って人もいましたね」(KINTO担当者・布川氏)
「トヨタのお膝元」豊田市のほど近くで実施したこともあり、「作る側」としての思い入れをもつ投票者もあったようである。こうしたアンケート結果や、社内の意見をふまえつつ、バリエーションに富んだラインナップを提供する。
このようなユーザーからの声は、旧車事業においてKINTOがとくに重視するところでもある。Vintage Clubという名称にもあるように、「旧車好きのコミュニティ」の形成が目指されているのだ。
今後導入する車種を検討したり、レストアの際のカスタマイズ方針を決めたりする際にも、SNSなどのコミュニティを通じてユーザーの意見を取り入れていく意向だという。
「Web上でサークルっぽく、何をどう直すのかワイワイ盛り上がるようにできたらいいなと思います。ぼくらは旧車に関して素人のようなものなので、そういう場をつくりながら『旧車好きの仲間に入れてもらう』ような意識でやっています」(同前)
一般に、旧車趣味は限られた層だけが楽しむものという印象がある。レンタカーサービスを通じて旧車体験の間口を広げ、車好きたちのオープンなコミュニケーションを促したい考えだ。
旧車ビギナーにも貸し出せるように……
旧車コミュニティの間口を広げるにあたり、レンタカー貸し出しの際には運転スキルや旧車についての知識は問わない意向だ。とはいえラインナップのなかには、今の車と同じようには扱えない車種も多い。
たとえばレビンやセリカのエンジンは電子制御ではなく、キャブレターという機械で燃料と空気の配分を調整するため、今の車よりも回転数が安定しにくい。十分に暖機運転をしておかないと、エンストしてしまうこともある。