「クルマのサブスク」で知られるKINTOが、旧車コミュニティ「Vintage Club by KINTO」を始動し、レンタルのサービスを開始した。セリカリフトバックなど、レストア済みの旧車4台をラインナップする。
このうち2台のレベルアップ作業を担当したのは、トヨタの電動パワトレ開発統括部。メーカーみずからが名乗りを上げた格好だが、実際の工程においては想定外の事態に見舞われることも少なくなかったようである。なんでも導入に向け作業を進める車両のなかには、完成の目処が立っていないものもあるという。はたして、トヨタ直々のレベルアップ作業に、どんな困難が生じているというのか。(全3回の2回目/#1、#3を読む)
厳重なセキュリティチェックをくぐり抜け…
レストア作業の内部事情を知るべく、我々は愛知県豊田市、トヨタ自動車の技術本館を訪れた。厳重なセキュリティチェックにより、持ち込む電子機器すべてのシリアルナンバーを申告し、入館証を手にする。
なにしろ広大な敷地であるから、工場内の移動は車である。用意されていたのは、ヴェルファイアの上位グレード。小さなところにトヨタの矜持がうかがえる。
移動中、カモフラージュされた新型車両が視界に入り、見てはいけないものを見た、と体がこわばる。厳重なセキュリティも当然というわけだ。
現代風にカスタムされたセリカリフトバック
案内に従い作業場に入ると、中央に伸びやかな流線型のボディが鎮座している。今年の東京オートサロンにも出展されていたセリカリフトバックだ。完成間近なこともあり、堂々たる存在感を放っている。
まず印象に残るのが、茶色がかったグリーンの絶妙な色合いである。純正色とはいえ現在は使われていないボディカラーなので、カラーコードで一から調合し直す必要があったという。
「自動車メーカーみずからが手掛けたレストア車両」というと、純正のままの状態がイメージされるが、このセリカには車高やホイールなどカスタム箇所が散見される。車のキャラクターやユーザーニーズ、工程上の都合に応じて柔軟にカスタムの選択肢を取り入れているのだ。