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「バブルカー」の高級感を当時のままに
KINTOのプロジェクトにおいて新明工業が受け持つのは、初代ソアラのレストア作業。加えて、初代レビンなどトヨタ側の担当する車両を含む全車両の検査や仕上げ、貸し出し時の発着地点としての役割も担う。
この時車検用のレーンには、初代ソアラが下回りの最終チェックのために並べられていた。1982年式であり、「元祖ハイソカー」としてバブルを彩った高級車である。入庫した時点でも、塗装には当時の高級感が残されていたという。そのため外装は鈑金面の凹凸や塗装劣化のレベルアップを中心に、もとの質感を保つ方向でリフレッシュした。
ソアラといえば、豪勢な素材をふんだんにあしらった内装である。入庫時にはシートや内張に剥がれがあったため、張り替えにより質感を蘇らせた。
国産車初のデジタルメーターや、タッチパネルのエアコンも目を引くポイントだ。クルーズコントロールなど当時の最新機能も使える状態になっている。
ソアラについて話を聞いていると、石川氏から「中入ってみ、カバンなんか置いてよ。いいもん入っとんのか?」と、下回り検査用の溝に入ってみるよう促される。下から覗くと車両状態は明白に見て取れるが、この車は40年前のものとは思えないほどに仕上げられていた。
なお、KINTOの扱うラインナップのうち、完全に純正状態をキープしているのはこのソアラだけである。レストアにあたっては、高級車ならではの乗り心地を再現することにこだわった。現在の高級コンフォートタイヤを装着し、布川氏いわく「めっちゃ乗り心地いいですよ、応接間の椅子みたいな」とのことである。