「今年は思い切って、やりたいようにやる」

 今季限りでの退任を発表した阪神・矢野燿大監督(53)は最近、側近にそう宣言したという。だが選手からは戸惑いの声が……。

 3月12日の中日とのオープン戦では、内野の本職は三塁の佐藤輝明を「4番・二塁」でスタメン起用。

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「試合2日前に矢野監督が遊びでセカンドでノックを受けさせていましたが、佐藤は先発を知って『エーッ』と絶句していた」(番記者)

 佐藤輝は試合後、笑いながらも「(二塁は)人生で初めて。年間、守るとなったらすごい難しいと思う」と困惑。一方の矢野監督は「面白いんちゃうかな。オプションの中に入れてもいいと思う」と満足げだった。

「二塁が本職の糸原健斗が攻守共に伸び悩んでいるため、佐藤に白羽の矢を立てたが、打撃への影響が懸念されます。昨年同様、二遊間が固定できずにシーズンに入れば、4年連続12球団ワーストの失策記録が更新されかねません」(同前)

キャンプで佐藤輝に視線を送る矢野監督 ©共同通信社

 背景には就任当初から推し進めてきた“複数ポジション制”への執着がある。

「佐藤輝や大山悠輔など若手、中堅のレギュラー選手は今、固定されたポジションで必死に練習しないと後々響いてくる。開幕直前なのにあちこち守らされた上、『競争だ!』と煽られ、選手からは『いい加減にして欲しい』と不満の声が聞こえてきます」(球団OB)

 キャンプ終盤には糸井嘉男、西勇輝の発案で、胴上げの“予行演習”に担ぎだされた矢野監督。「気持ちよかった。ありがたいね」と感慨深げだったが、選手との間には温度差がある。