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 漫画家を目指すことの方がより如実だとは思いますが、声優を志すこともこれと同じです。

 まず自分でいろいろやってみて、それでも結果が出せなかったので次善の手段として学校を活用することにしましたという風に理由や目的があって学校に入ることを選ぶのであれば、まだその人が生き残れる可能性はあると思います。ですが多くの人がそうではないので、そこからデビューしてさらに業界で生き残れる人は本当に少ないというのが実情です。

なぜ専門学校や養成所に行くのか

「とりあえずとっかかりとしてまずは専門学校や養成所に行っておこう」という発想は僕からすると安易な道を選んでいるように思えますし、その態度そのものがあまり声優に向いているとは思えません。

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 自主的に何かを考え行動するということがこの業界では大切です。誰かに言われたからこうしますだとか先生に教えてもらって答えをもらうということではなく、自分で考え動いてみて自分で何かを見つけ出すこと、そういう行動力を持つことこそが重要なのです。

 そして、それができる人たちだけが生き残っている業界であることは間違いありません。ですから、そういうマインドを持たないままで専門学校や養成所に行ってもいい結果は得られません。その一番大事なマインドは誰かに教えてもらわなくても自分で養えるもの、というより自分で鍛えて育むしかないのです。「お芝居や演技のノウハウはお金を出して教わるものでもなければ教えられるものでもない」とはつまり、そういうことなのです。

©️iStock.com

声優は誰でもなれるものではない

 これは大前提ですが、声優は誰でもなれる職業ではありません。特殊なセンスや技能、個性、運も含めて様々なものがマッチした人だけがなれるものです。資格試験や受験勉強のように一定の点数が取れれば誰でもなれるものと勘違いしてはいけません。

 そして、それは専門学校や養成所に通おうが通うまいが同じことです。学校や事務所に何百万円も払って毎日勉強してもダメな人はダメですし、なれる人は学校に通っても通わなくても結局プロになります。厳しいように感じるかもしれませんが、実際厳しい世界なのです。

 一方、授業料を支払って学校に入ることに比べれば、自分で声を録って一般公募のオーディションに送るのにはお金も時間も全然かかりません。パソコンやスマホがあれば資料もデモ音源も簡単に用意できますし、応募フォームからパパッとエントリーできるものもあります。郵送の場合でも封筒と切手代だけで済みます。

 一般公募のオーディションに応募してそこからのデビューを目指す方が現状声優としてデビューできる可能性が高い上に、金銭的にも時間的にもローコストで済むのです。これも僕が、専門学校や養成所に入るのではなく一般公募のオーディションをまずはやってみるのがいいと勧める理由の一つです。