――入るつもりは全然なかったんですか。
上沼 全くないです、それ離婚ですわ、そんな。主人なんか、私が『笑百科』出てるだけでも悶々としてましたからね。
でも私はほんとは嬉しかったんですね。それは勲章です。寂聴さんがスタジオまでいらしたことと、林正之助さんがスカウトしてくれたこと。私の人生の勲章だと思ってますよね。
闇営業問題で「あんたらいつからスポーツマンになったん?」
――吉本の、いわゆる闇営業が問題になっていた時に、上沼さんのテレビ(『上沼・高田のクギズケ!』)に月亭方正さんと、FUJIWARAのおふたりがゲストで出ていて。宮迫さんのことを「早くテレビに戻ってきてほしい」と切々と訴えていました。その時にMCである上沼さんが、「あんたらいつからスポーツマンになったん?」って言ったんです。 「誰も頭抜けようとしない。スクラム組んで『おもろないようにしような』ってやってる」と。
上沼 ちょっときついコメントになってますね(笑)。でもね、ほんまにそうかなと思ってるんです。
――ネットでも賛否両論はあったんですけど、その時思ったのは、上沼さんは視聴者を見て番組を作ってるんだなと。視聴者にとっては、芸人同士の絆とか関係ないじゃないですか。
上沼 面白かったらええわけでね。
――それで今日お話を聞いて、上沼さんがずっとひとりで戦ってきたからこそ出た言葉なんだろうなとも思いました。
上沼 でも視聴者のことを思ってとか、ご賛同いただけるやろうとか、そんなこと思っていません。ほんとの気持ちですわ。
要するにクラブ活動みたいなところが今、ある気がするんですよ。どんな悪いことをしても、俺ら仲間やんなって。そんなんじゃだめなんですよ、ほんとに。ただ、それを本番で言ったって聞いて自分でびっくりしたんですが。
――(笑)。
上沼 でも本気ですね。やっぱり吉本は守られてきた人たちやなと思います。それといいもん食べてきた人たちやなと思うんですね。3分残したら、3年、4年テレビに出られないとか、そんな目に遭ってないからです。
笑ってもらえないことを「スベった」と言うじゃないですか。今「スベった」というのを言い過ぎてますね。そんなもん恥ずかしい話なんですよ。芸人である以上はスベったなんて言うなと思うし、もっと落ち込んで、気持ち立て直したら帰ってこいと思います。
それなのに「スベりおった」っていうのを前に出して、言ったもん勝ちみたいなね。そうすることによって、被害から逃れられると皆さん思いすぎやと思うんですよ。もっとどろっとしたもんですよ。それこそ椅子取りゲームですよ、この世界は。
ひな壇には誰でも座れますが、ひな壇からMCの席に来るのは、やっぱり力です。そんな「スベったなあ」とか「お前は悪いことしたけど、俺たち仲間やで」とか言うてる人間は、一生MCにはいけません。支持されないと思います。もう根本的に芸人じゃないと思いますね。