「手洗いより洗車機が安心」なケースも?
これまで「手間とコスト」を抑えるという観点から、主に洗車機のメリット・デメリットについて話を聞いてきた。一方で、コスト面を考慮しなければ、「プロに手洗い洗車を頼む」というのが理想的ではある。洗浄力が高く、洗車機では残りやすいミラー周辺やホイールの汚れまで丁寧に落とし、水滴もきちんと拭き上げたうえで納車される。
とはいえ、これらはあくまで「腕の確かな作業者が適切な環境下で洗った場合」の話である。実際には、スタッフの習熟度や作業環境によって仕上がりは左右されるようだ。
「長年勤務していても、状況にかかわらず完璧に洗える人はそう多くないです。他の業務に追われて、洗い残しや拭き残しがあったりすることも珍しくありません。
作業者によってどこまで手を入れるのかも違います。複雑な形状のホイールを細部まで洗うとか、タイヤハウスの内側まで洗うとか……特に差が出るのはステップやトランクなど、隙間に入った水滴の処理です。この辺に水滴が残ったままだと、その時は気にならなくても、後で水アカになったり、イオンデポジットの原因になったりしてしまいます」(ガソリンスタンドマネージャーB氏)
イオンデポジットとは水分中のミネラルなどが乾燥後に白い跡となってボディに残った状態のことであり、一度付着してしまうと簡単には落とせない。トランクから落ちた水滴の跡がリアバンパーに残ってしまうケースなど、水が溜まる箇所には特に付着しやすい。
「そういった意味では、洗車機を使えば一定以上の品質は担保できる、と言えるかもしれません。細かい部分は自分で手を入れる必要がありますが、値段を考えればかなり妥当なのではないかと思います」(同上)
信頼できるスタッフに作業を任せられるのでなければ、むしろ「洗車機の方が安心できる」という状況も考えられるわけである。著しい汚れがない状態で、はじめて行くガソリンスタンドで洗車したいという場合などは特に、手洗いを頼むメリットは薄いのかもしれない。
適切な洗車ペースは?
結論として、コストをかけない洗車の基本は「洗車機の安価なメニューを短いスパンで実施する」ということになるだろう。著しい汚れがつく前に洗い落とす、というのを繰り返すわけである。
しかし実際のところ、具体的にどの程度のペースで洗車をするのがよいのだろうか。
「業界内では、平均的な洗車スパンは2ヶ月に1回程度というデータがあります。しかし、2ヶ月溜まった汚れを洗車機で落としきれるかというと、厳しいケースも多いでしょう。少なくとも2週間に1度、花粉や黄砂が多い時期には週に1度は洗車機に通しておくと、毎回スムーズに汚れが落ちると思います」(ガソリンスタンド洗車担当A氏)
数ヶ月に1度だけ高い洗車メニューを頼むよりも、500円程度の機械洗車を短いスパンで行った方が、キレイに保てる期間も長くなるだろう。