3月27日(現地時間)にアメリカ・ロサンゼルスで開催された第94回アカデミー賞の授賞式で、俳優のウィル・スミスがプレゼンターのクリス・ロックの顔を平手打ちしたことが物議を醸している。妻・ジェイダの髪形についてロックが壇上でジョークを言ったことに対して激高したとみられる。その後、スミスは出演した映画『ドリームプラン』で主演男優賞に選出された。受賞スピーチでは“ビンタ事件”について「皆さんに謝罪しなければならない」などと語った。

 「週刊文春」はアカデミー賞直前、ウィル・スミスにインタビューを実施していた。今回、主演男優賞に輝いた『ドリームプラン』で演じた役柄について本人が語った記事を再公開する。(初出:週刊文春  2022年3月10号 年齢・肩書き等は公開時のまま)

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白人中心のテニス界で奮闘する役を演じる

 作品賞など6部門にノミネートされた、実話をもとにした映画『ドリームプラン』で演じるのは、リチャード・ウィリアムズ。テニスプレーヤーのビーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹の父親だ。

ウィル・スミス © 2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved

 白人中心のテニス界で、裕福とはほど遠かった姉妹が世界チャンピオンにまでのぼりつめることができたのには、テニス未経験ながらも、やや偏屈で押しの強い、この父親の奮闘があったのである。

「あの一家がやったことは、本当にすごい。こんなことは二度と起こらないだろう。リチャードは、娘たちが生まれてくる前に、『世界で1位と2位のテニス選手を育てる』と決め、実行した。どんな障害も克服し、誇らしげに『ほら、言っただろう』というプラカードを掲げて会場に行ったのさ。この話を世界に届けることができて嬉しいよ。僕のキャリアの中でも、これは最高の光栄だ」