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細分化されてアイテムが増えている文具

――近年はデジタル化が進んで、文具を使う機会が減ってきていると思うのですが、そのぶん新作のアイテム数も減っていたりするのでしょうか。

 文具事務用品の市場規模は減少傾向ですが、ニッチな悩みに対応した様々な文房具が発売されて、個人の悩みに対応した商品がたくさん出ています。ものすごく細分化されていっているんですよね。

 例えば、“静音設計”のボールペンとかですね。ノック音が無音じゃないけど、すごく静かだったり、“黒インクのバリエーションが6色”とか。「え、その機能いる?」みたいな(笑)。でも実際に使うと、「おー!」ってなる文具が多いので、アイテム数で言ったらすごい増えているんじゃないかな。

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――デジタル化の波に逆行している感じがしますね。

 そうですね。仕事で書く作業というのは、ほとんどデジタルでなんとかなってしまう。お手紙や書類作成もそうですけど、メールもありますし、全部賄えてしまうんですよね。最近はどちらかというと、実用より趣味の世界が広がっていっているなって思います。

自宅には200箱以上の文具が。 提供:菅未里

9年前は女性の文具ファンが少なかった

――今後、文具ソムリエールとして皆さんにどんなことを伝えていきたいですか?

 やっぱり文房具の魅力を沢山の人に知っていただきたいですね。最近、嬉しいのが“文房具マニア”みたいな方じゃなくても、「ボールペンはこだわって使ってるんだよね」とか、そう言ってくれる方が増えてきたので、もしかしたらもう達成されているかもしれないです。

 あとは、「最近の女性って文房具好きだよね」って言われるようになったんですけど、その一言を聞くとめちゃくちゃテンション上がりますね。

――昔は女性のファンは少なかったんですか?

 私がこの活動を始めたのが約9年前なんですけど、当時は女性の文具ファンが少なかったんですよ。やっぱりお仕事で使う機会が多かったので、文房具の担い手はどちらかというと男性が圧倒的に多くて。

 それが女性の社会進出だったり、メーカーさんが女性にヒットするデザインとかいろんな物を作ってきたことで、本当にここ10年でガラッと変わったんですよ。ここ数年では“文具女子博”という、可愛い文房具を集めた女性をターゲットにしたイベントも開催されていて、より人気が高まってきたので仲間が増えて嬉しいです(笑)。

©文藝春秋 撮影・上田康太郎

――いつか自身のブランドを立ち上げたいという想いもあるのでしょうか。

 あんまりないですね。在庫負担が怖くて(笑)。私はもともと売り場にいたので、“長期在庫”とかって言葉が怖すぎて得意じゃないんですよ。だからスポットでちょこちょこってコラボさせていただければいいなって思います。