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岡部の兄弟子「彼はプロから見てもキラリとする手を指していた」

 岡部は加瀬純一七段門下、徳田は小林健二九段門下である。いずれもすでに多くの兄弟子が棋士としてデビューし、活躍している一門だ。

 ここからは兄弟子の見た新四段の素顔について迫っていきたい。まずは岡部の兄弟子である戸辺誠七段から。

「岡部君は山形から通っていたので、しょっちゅう会えたわけではないですが、師匠の加瀬教室や自宅でよく将棋を指していましたね。加瀬教室で将棋が強いなと思ったときに、名前を聞いたのがきっかけでしょうか。彼がまだ奨励会6級の頃です。

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 将棋が強いと思った理由ですか? 私が見るポイントとしてはどれだけ将棋に集中しているかと、どれだけ自分のようなプロを脅かす手が出てくるかということです。普通の子は習い事の感じで、教わった手をきれいに指してきれいに負けるということが多いのですが、彼は当時から勝ちに来ていました。プロから見てもキラリとする手を指しましたね。

 あと、彼は昔から将棋を指す時の目つきがすごくいいんですよね。大きな目で盤を直視し、一心不乱に考えている姿が印象的です。先輩棋士だと佐々木さん(勇気七段)、黒沢さん(怜生六段)、斎藤さん(明日斗五段)にかわいがってもらっていました」

徳田の兄弟子の期待「大きな舞台で同門対決が実現できれば」

徳田新四段は都成竜馬七段と似ていると言われている。「徳田君が棋士室で先輩から『都成君」と間違えて声を掛けられているのを見たことがあります」とは都成七段の弁

 続いて徳田の兄弟子、冨田誠也四段のコメント。

「話が面白い好青年ですね。三段リーグには『こんないい人がプロになれる訳がない』という言い回しがありますが、彼もそんなタイプです。自分が上がったリーグ(第67回)の最終日、午前中の対局を終えた時点で昼食を取ろうと思ったのですが、食事部屋に行くと競争相手が先にいました。味が悪いと別の部屋に行ったのですが、それを見た徳田君が追いかけてきてくれたんです。僕は例会での食事の時は、話し相手がいたほうがいいので、徳田君とざっくばらんな話ができた結果、2局目の勝利、昇段につながったと思っています。

 今回の三段リーグでも最終日直前に記録を取ってもらい、対局直後に話す機会がありました。その時点では15勝3敗で頭ハネを食らう可能性もあった訳ですが、悲観的に見ているというよりはその状況を楽しんでいるという感じで、『ああ、これは上がるな』と。もっとも当日は、僕もそわそわしてましたけど(笑)。先輩としていうなら、プロになった直後に負けが込んでも、本来の自分を取り戻せば勝てるようになるはずです。大きな舞台で同門対決が実現できればいいですね」

写真=相崎修司

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