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1日1500億円を売上げたこともあるKOLだったが…?

 アパレルショップ経営からKOLに転身した彼女は、一回当たりの配信の平均視聴者数2000万人を超え、1日に約1500億円を売り上げたこともあるという中国ライブコマース界の寵児だった。

 ところが2021年12月、彼女は税務当局から6億4300万元(約120億円)の脱税を指摘され、追徴金や罰金を含め13億4100万元(約250億円)の支払いを求められた。ちなみに120億円という金額は、2019年から1年間に彼女が支払うべき税額だったということなので、その稼ぎっぷりは推して知るべしである。

巨額の脱税で逮捕された中国ライブコマースの女王こと薇娅

 今や2兆元(約38兆円)の規模に成長しているともいわれる中国のライブコマース市場だが、そのけん引役は李氏や薇婭のようなトップKOLだけではない。

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社員は全員「月収100万円以上」という景気の良さ

 都内に本社を構えるJEWEL合同会社は、各地から買い付けた国産真珠を、ライブコマースを使って中国市場で販売している。配信者を務めるのは自社社員だ。

 代表の偉横路氏は「宝飾品のような高額商品は、委託されればなんでも配信するKOLよりも、販売側が自身で発信したほうが信頼を獲得できると考えた」と話す。

薇娅は追徴金や罰金を含め約250億円の支払いを求められたがすぐに納付したという

 ライブコマースを始めて3年ほどで、配信による年間収益は3億円を超える。同社の平均年齢は30歳未満だが、社員は全員月収100万円以上だというから景気の良さもうかがえる。

 一方で日本の国内市場を見てみると、ライブコマースの認知度はさほど高くない。MMD研究所が2021年4月に行った調査では、ライブコマースの利用経験は12.7%で、認知度も43.2%にとどまっている。

 ただ今年に入ってからは農業分野で、生産者が直接畑や海産物を水揚げする漁港からライブ配信し食材を解説するなど、あたかも直売所で購入しているような臨場感が味わえるサービスなども始まった。中古品販売で有名なコメ兵ホールディングスも、ライブコマース用のスタジオを9月までに東京都内に設けるという。

 今後、ライブコマース市場が日本でも沸き立てば、コロナ不況からの脱却の一助となるかもしれない。