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連載日の丸女子バレー 東洋の魔女から眞鍋ジャパンまで

「お前、勝つ気があるのか」「無謀だ」“メグカナ”起用に揺れた〈全日本バレー首脳陣〉の舞台裏

日の丸女子バレー #31

2022/04/02
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大山、栗原、木村の世界戦デビュー

 吉原の勝利に対する執念にも似た姿勢は、徐々にチームに浸透していった。

 そして迎えたワールドカップ。

 世界の大陸予選を勝ち抜いてきた12カ国の強豪チームが代々木体育館に結集。上位3カ国にアテネ五輪の出場権が与えられるため、9カ月後に開催されるアテネ五輪の前哨戦として、すべてのチームが最高のパフォーマンスを携えて日本入りしてきた。

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 そこに結集した顔ぶれは、当時ランキング1位のアメリカ、2位中国、4位イタリア、5位ブラジル、6位キューバ、7位韓国、10位ポーランド、13位アルゼンチン、14位ドミニカ共和国、15位トルコ、そして23位のエジプトだった。

アテネ五輪時の女子バレー日本代表(左から成田郁久美、栗原恵、大山加奈、杉山祥子) ©文藝春秋

 世界ランキング通りに勝敗を計算するなら、11位の日本が勝てるのは4カ国。しかも15位のトルコはヨーロッパ大陸予選でランキング3位のロシアを破っての出場であり、日本の勝ち数はあまり期待出来るものではない。

 柳本は、吉原を中心にしたチーム作りに手応えを感じていたが、バレー関係者の多くは、また屈辱の歴史を上塗りするのではないかと気が気ではなかった。

 初戦の相手は南米大陸予選2位のアルゼンチン。