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「理想の部屋」は交際相手の色に染まっていって……

 すでに三鷹に豪邸を所有していた志村さん。この新しく借りたマンションは、セカンドハウスとして使用していた。

「その頃は、志村さん、志村さんがお付き合いしていた女性、それに当時の私の夫の4人で、私の18階の部屋に集まってよく飲みました。そんな時は、志村さんが料理を作ってくれるんですよ。しゃぶしゃぶもタレから作ってくれて、体に良いものや、居酒屋で覚えた美味しいご飯を振る舞ってくれた」

ロケでの志村さん(中央)。左がダチョウ倶楽部の上島竜兵、右が川上麻衣子(川上さん提供)

 志村さんの部屋は、窓から東京タワーも見えるマンションで、部屋にはカウンターテーブルと映画鑑賞用のプロジェクターだけが置かれていた。まさに「お酒を飲んで、映画を観て、寝るだけの場所」だった。志村さんはこの部屋で「自分が理想としていた暮らしがしたい」と、川上に語っていた。

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 しかし、その“理想の部屋”は、川上が訪れる度に部屋の様相が変っていき、ついには志村さんの姿も見かけなくなっていった。

「私が志村さんの家で飲むことは、たまにしかなかったんですけど、行き来するうちに、志村さんの部屋が女の子っぽく変わっていきました。数年後には、ほとんど女性に乗っ取られているような感じで(笑)。志村さんに仕事で会うと『師匠、最近マンションに来ないんですか?』って聞くんですが、『うん、ちょっと帰りにくくて……』って。まだ志村さんも40代だったので、本当に元気な頃でした」

東村山駅前の「志村けんの木」の下に設置された献花台 ©文藝春秋

 毎晩のようにお酒を交わすうちに、川上自身が志村さんと恋愛に発展することはなかったのだろうか。

「会ったころは、お互いに好きな人がいたけどうまくいかない恋愛をしていたので、飲みながら愚痴を言い合う仲でしたね。だからといって付き合う感じとかにはならない関係でした。

 私は好きになったら相手と一緒にいたいタイプ。だけど志村さんはすごい壁を作るというか……。お酒を飲んでいるときは楽しいけど、たまに“絶対に他人が入り込めない顔”になる。シラフで仕事をしていると、近寄りがたい雰囲気になるんです。友達としてはすごく楽しかったですけど、彼氏としてはめんどくさくて(笑)」