――才木さんのトレードマークだったノースリーブの衣装も、自信が出たから着られるようになったんでしょうか。
才木 そうですね。出したかったのと、覚えてもらうというためもあって。ツインテールにノースリーブというのを自分のトレードマークにしようと思いました。ちょっと戦略的でしたね、そこは(笑)。才木玲佳という名前は覚えてもらえなくても「あのツインテールのムキムキの子ね」みたいな覚え方で全然よかったし。
体型について悩みを持つ女性からファンレターがくるように
――側から見たら全然そんなことないと思っても、容姿のコンプレックスって本人のメンタルにじんわり染み渡ってる。才木さんのそのパラダイムチェンジはすごく周りを勇気づけるものだったのではないでしょうか。
才木 筋肉を鍛え始めてから、かつての私と同じ悩みを抱えた女の子からファンレターがくるようになりました。「太い腕がコンプレックスだったんだけど、玲佳ちゃんを見て、あっこれでいいんだって思えた」「コンプレックスに感じる必要なかったんだ」というお声をいただいたこともあって。
――「モテ」を気にされたことは?
才木 気にしてたら筋トレはやってなかったかな(笑)。男の人受けはよくなかったんですよね。鍛えてる男の人からは受けがいいんですけど、恋愛対象としてみられるというよりかは仲間としてですね。「すごい尊敬してます」とか「かっこいいっす」みたいな感じでこられることが多かったです。
でも海外の人にはめっちゃモテる。やっぱり価値観が違うんですよね。海外だと女性の筋肉がセクシー、ホットという風に捉えられることが多くて。海外の男性から「Marry me」みたいなDMがよく来てる時期がありました(笑)。
――おもしろいですね。女性の「筋肉」から、色々なものがあぶり出される……いかに私たちが枠にはまって生きているかも。
才木 枠にとらわれるのはやっぱり嫌いなんです。それこそ肩書きとかも、すごくうんざりしていて。もちろん肩書きはわかりやすいし、便利なんですけど、それありきで見られるのは嫌だなと思ってました。私の場合は「筋肉アイドル」で出る時もあれば「プロレスラー」で出る時もあったり。「ボディビルダー」で出ることもありました。
筋肉を卒業する決心ができたのも、筋肉という枠に縛られることが嫌になったからかもしれません。
人間って多面的じゃないですか。これは私に限った話じゃないですけど、1個の枠にとらわれず、色んな自分があるということをもっとみんな理解するべきなんじゃないかなと。この仕事をしていてすごく思います。
写真=平松市聖/文藝春秋
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