展開完了! ついに内部に潜入…
設置された階段を上ると、床の高さは1mほどだろうか、意外と高さが感じられる。
中に進むと、よく知る雲の壁紙が。名状しがたい感慨がある。この壁紙は年に一度のペースで貼り替えているというが、内装のイメージが定着していることもあり、今後も図柄を変更する予定はないそうだ。
窓(マジックミラー)が大きいためか、あるいは壁紙の模様のためか、6畳と聞くよりはるかに開放感がある。電力が豊富に供給されるため、エアコンや換気扇、シャワーなども使用でき、普通の部屋としてストレスなく過ごせそうな印象だ。
作品の肝となるマジックミラーは助手席側にあり、「ウイング」と呼ばれる、跳ね上げ式のシャッターを開くことで現れる。公然わいせつのリスクを回避しながら、露出のスリルを演出するための装置だが、取り扱いには注意が必要だ。
「外より中が明るいと、マジックミラーの意味がなくなっちゃうんですよ。外から丸見えになるので、日が落ちてからは撮影できないです。日中でも部屋を明るくしすぎると中が見えてしまうこともあって、結構気を遣います」(車両部担当者)
こうしたリスクに備え、ミラー号の照明には細かな調光機能が備わっている。なお最近では、「外の方が明るいと丸見えになる」という性質を利用し、「実は外から見えていた」というドッキリ的な企画「逆転マジックミラー号」も好評を博している。
部屋が重すぎてタイヤがバースト?
しかし当然、これだけの機能を備えれば重量も増えていく。3.5tの車重に対して、架装部は4t~5tにも及ぶ。足回りにかかる負荷の大きさから、制作からしばらくは「車体が傾く」「サスペンションに干渉が生じる」といったトラブルがあった。
さらにタイヤにかかる負担は予想外に大きく、過去には一度のロケで二度、タイヤがバーストしたこともあるという。
「首都高でタイヤがバーストしたこともありました。スリップして、真横を向いて1車線を塞ぐような形になっちゃって。
後輪のダブルタイヤの一方が欠ける形で、どうにか自走はできたので、近くの神田で降りて、そのまま車庫まで行きましたね。
深夜だったから事故にはつながらなかったのが幸いでした。ミラー号が首都高で事故なんて、トップ記事になっちゃいますからね」(同前)
このような経験もあり、タイヤの管理にはとくに注意が払われている。取材の際にも、国産上級グレードの真新しいスタッドレスタイヤが装着されていた。