女性に対する振る舞い方がわからず、行動に出られない男性は世に多くいる。行動に移しても見当違いな振る舞いをしてしまい、女性からの顰蹙を買い、それが原因でさらに自信を失っていく、という悪循環もありうる。こうした構造は女性嫌悪の背景としても指摘されているが、SODはいわば性教育の実技指導を通じ、女性に対する緊張や恐怖の解消に寄与しようとしているのである。
同時にこのようなプロジェクトは、性産業のイメージを明るくすることにつながるかもしれない。そこに従事する女性が、指導者あるいは講師といった立ち位置を得る意義は大きいのではないか。
ミラー号は「SODの象徴であり原点」
こうしたスケールの大きなチャレンジは、一見ミラー号とは直接関係しないように思える。しかし、つねに開拓者であろうとする野本社長のマインドは、ミラー号に刻まれた先人たちの精神と通底するものだ。
「ミラー号のことを聞かれたり考えたりするたび、『新しいことをしなきゃな』っていう気持ちになるんですよね。先代が作ったマジックミラー号っていう、これだけ知名度のあるものを、それから生み出せていないなって思いもあって。
もう一回ものづくりの原点に戻りたい、新しいものを提案していきたいってところから、ぼくも今期から制作に戻って色々準備を進めています」
浪人時代からAV監督を目指して企画を書き溜め、SOD入社後はマジックミラー号と寝食を共にしてきたという野本社長。彼にとって、またSODにとって、マジックミラー号とはどのような存在なのか。
「SODって言う名前の次に、マジックミラー号っていうのが来るくらい、会社の顔になっています。『企画を頑張ってきたAVメーカー』の象徴、というのが一つありますね。あとは、売れなかった時代にヒット作で会社を支えてくれたのもありますし、原点でもあるんだと思います」
マジックミラー号はSODを象徴する存在であると同時に、新しいチャレンジに踏み出す際に立ち返るべき原点になっているわけである。SODはこれからどのような「新しいエロの形」を世に提案していくのだろうか。