いつか無人島を手に入れて「芸人島」を作りたい
――ずっと高速道路でアクセルを踏み込んでいるわけですから、なかなかできないことですよ。下道におりて、違う可能性を探る方も少なくないわけですから。
吉村 高速の出口がわからないだけなんですよ!(笑) 運転が下手くそだから、降り方がわかんなくなっちゃった。だったら、もっと突き抜けた方が良いと思って、それで本気で無人島を買おうとしたんですよね。まだ買えていないんですけど、目標としていつか無人島を手に入れてやろうと思っています。近隣から、「絶対にあそこには行くな」って止められるような芸人島を作りたい。これが天下取りを目指した吉村キングダムの最終目標かもしれない。
――もうドン・キホーテじゃないですか。
吉村 宇宙から見たら、一点だけ24時間ずっとキラキラしているバカの島を作りたいです(笑)。 勢いやカンで生きている芸人が過ごしやすい場所。今後、テレビの世界も変わっていくと思うんですよ。僕たちが芸人を目指した2000年前後って、テレビ局は不動の人気就職先でした。当然、頭の良い人たちがたくさん就職したと思うんですけど、頭の良い人って賢いから怒られるような選択肢を選ばない。ですから、変なものって作られにくかったと思います。
でも、時代が変わって、テレビ局は必ずしも人気就職先ではなくなってきている。そうなると、何年後かにはいろんな人が入ってきて、多種多様な番組を作っている可能性がある。怒られてでも自分たちが本当にやりたいものを作る――そんな熱い気持ちが膨れ上がっていくんじゃないかなって。そういうときに、勢いとカンの人間は重要な戦力になると思うんですよね。
――なるほど。天下取りへの計略はあると。
吉村 怒られたくない人たちばかりだと、世の中ってどうしてもがんじがらめになってくる。怒られたとき、反省もするけど、その上で受け流せるみたいな人たちが必要。それこそ勢いやノリ含めて。そのとき、僕は何歳になっているかわからないですけど、あいかわらずバカをやって、テレビを作っている人、見ている人が笑えるような芸人でありたい。やっぱり自分を育ててくれたテレビを、自分の手で熱くしたいじゃないですか。
写真=平松市聖/文藝春秋
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