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本番でもサラッと吐く毒

中野 考え過ぎるとステレオタイプの薄いコメントになってしまうような気がするんですよね。「考え過ぎてはダメだ」というのは東大工学部の大先輩である建築家の伊東豊雄先生から言われたことです。

 先生の「東京遊牧少女の包(パオ)」という1985年の作品があります。これはファミレスやファストフードの店、シアターを居場所にして都市空間を自由に彷徨う少女たちのための家で、だからキッチンやリビングはなく、『ぴあ』などの情報雑誌を置く家具とオシャレをするためのブースがある。当時の少女たちのリアリティが再現されたものでした。

 優等生的な発想や計算からは出てこない、もう一歩先にある伊東先生の生々しい知性というものに私は感銘を受けたんですね。

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 私もたくさん勉強して、知識を熟成させて、芳醇なウイスキーのようなお話ができたらなと思うんですよ。

©板倉アユミ

大下 中野さんのお話はいつも簡潔で深くて、記憶に残るコメントがたくさんあります。「最短距離が最適解ではない」など、胸に刺さりました……。たくさんしゃべってもぜんぜん残らない方も……あ、そんなこと言ってはいけない。

中野 大下さん、本番でもサラッとまさかの毒を吐くことがありますよね。それが聴けるとなんだかうれしい。

大下 中野さんも時が経つにつれてじんわりと効いてくる毒を時折含ませていることに私、気づいていますよ(笑)。どうぞこれからもよろしくお願いします。今日はありがとうございました。おかげさまで私は安心して、自信のないまま、やっていきたいと思います。

なかののぶこ/1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年までフランス国立研究所ニューロスピンに勤務。著書多数。

おおしたようこ/1970年広島県生まれ。テレビ朝日エグゼクティブアナウンサー。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、93年にテレビ朝日入社。現在は、平日昼の『大下容子ワイド! スクランブル』でメインMCを務める。

中野さんにあなたのお悩みを相談しませんか?
読者の皆様のお悩みを、woman@bunshun.co.jpか(件名を「中野信子人生相談」にしてください)、〒102-8008 千代田区紀尾井町3-23「週刊文春WOMAN」編集部「中野信子の人生相談」係までお寄せください。匿名でもかまいませんが、「年齢・性別・職業・配偶者の有無」をお書き添えください。

なかののぶこ/1975年東京都生まれ。脳科学者。東日本国際大学特任教授。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。医学博士。2008年から10年までフランス国立研究所ニューロスピンに勤務。著書多数。

おおしたようこ/1970年広島県生まれ。テレビ朝日エグゼクティブアナウンサー。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、93年にテレビ朝日入社。現在は、平日昼の『大下容子ワイド! スクランブル』でメインMCを務める。

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text: Atsuko Komine