新型コロナ感染症の震源地として名指しされ、差別的な扱いを受けた「夜の街」。感染症対策の様々な助成から水商売業界を除外する方針もあったなかで、抗議を続けてきたのが日本水商売協会代表理事の甲賀香織氏だ。
ここでは、水商売業界の実態から魅力までを描いた同氏の著書『日本水商売協会 ――コロナ禍の「夜の街」を支えて』(筑摩書房)から一部を抜粋。甲賀氏が明らかにした、札幌・すすきののニュークラブグループ「バルセロナ」のCEO、波戸崎崇さんの斬新な経営手法を紹介する。(全2回の2回目/1回目から続く)
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売上32億円を誇るニュークラブグループの経営者
私が知っている中で、札幌・すすきののニュークラブグループ「バルセロナ」のCEO、波戸崎崇さんほど、水商売について冷静に分析をし、ビジネスとして成功法則を身につけている方はいない。
18歳でキャバクラの黒服として仕事を始めて以来、水商売の世界で仕事を続け、28歳のときに独立。東大・京大卒の黒服を積極採用するなど、業界の常識を覆す経営手法を展開してきた。
2010年に「バルセロナ」グループを設立し、現在はすすきの最大数の、ホステス450名以上が在籍する5つの大型店舗を展開している。2021年の売上高は32億円である。
業界の健全化にも高い意識を持ち、問題解決に向けての提言や活動も積極的に行っている人物だ。私が波戸崎さんと出会ったのは、キャスト用の接客、営業マニュアルを作りたいというオファーをいただいたのがきっかけだった。水商売の世界では珍しいタイプのさわやかさと賢さを兼ね揃えている方だな、という第一印象を覚えている。