大学を中退して、キャバクラへ「就職」したが……
大学を中退して、当時働いていたキャバクラグループで社員になった。そして、22歳のとき、札幌の支社長となり、すすきのへ行くことになった。先に進出していた開拓部隊が失敗し、立て直しをする人材として波戸崎さんに白羽の矢が立ったのだ。もし立て直しに成功したら、起業をバックアップしてくれる。この約束を店から取り付け、波戸崎さんは札幌に向かった。
しかし、立て直しは苦労の連続だった。社員がどんどん辞めていく。よくあるマネジメント手法を真似して、社員をめちゃくちゃ褒めてみたが、それも上手くいかない。次は、徹底的に管理し、仕事をさせることもやってみた。しかし、今度は自尊心を奪いすぎ、「支社長にはついていけない」と言われ、全員が辞めていった。
こうした苦労も経験し、少しずつ店舗の売上が高い水準で安定し始めた28歳のとき、札幌の店舗を買い取る形で独立することにした。
営業時間短縮で売上アップ
波戸崎さんの面白い、特徴的な点は、業界の常識や慣習に囚われていないところだ。たとえば、波戸崎さんは数年前から営業時間を深夜0時までに短縮した。キャストからは「時間が短くなったぶん、稼げなくなる」という不満の声や、「お客様を他店に取られるのでは」という懸念の声が上がった。
営業時間を0時までに短縮した背景には、「誇りを持って働ける企業を創りたい」という想いがあるという。
通常、接待飲食店の営業は午前0時までしか許されていない。それを超えての営業は、いくらお客様が望んでいたとしても、本来は風営法で禁止されている。しかし、その要望に応えて営業すれば、確実に売上は上がる。だから、地域の店舗はほとんどが深夜まで営業していた。
しかし、いくら「顧客が求めているサービスを提供している」というお題目を掲げたとしても、違法行為であることに変わりはない。だから、波戸崎氏は0時閉店を決めた。ある意味、コンプライアンスを優先させたのだ。