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女性がモータースポーツに参戦する際のハードルとは

――D1グランプリの歴史のなかで、女性としてシリーズに参戦するのは下田さんが初のケース。男性社会と言われるモータースポーツの世界で、苦労を感じることもあったのでは?

下田 やっぱり、まず基本的に舐めた目で見られるっていうのはありますね。実際に現場で運転しているところを見てもらうまで相手にしてもらえないというか。男性社会のなかで女性がやりたいことを実現するには、絶対に結果で示さなきゃいけないっていうプレッシャーはあります。

男性社会で生き抜くうえでのハードルを語る

 あと、現状として、ハードルはやっぱり女性の方が高いというのは一つの事実としてあります。育つ環境の面でも、世間的に「車のおもちゃは男の子のもの」みたいな意識は根強くあるじゃないですか。そういう風潮もあって、モータースポーツを始めるにしても、前提知識にかなり差があったりするんですよ。

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 あと、タイヤ交換とか自分で作業をするにしても全部力仕事だったりして、自分でできない女性は、結局業者さんに頼まざるをえなくなって維持費も嵩む……みたいな状況もあるかと思います。

――男性が当たり前のものとして受け取っているメリットが、享受できない場面があるわけですね。実際の競技の場面でも男女の実力差は出てきたりするのでしょうか?

下田 女性の参入ハードルの高さについて語ったばかりですが、他のスポーツと比べると、モータースポーツは身体的な差を車両のパワーで補うことができるので、女性でも男性と張り合っていける競技です。

 もちろんハンデを感じるところも正直あります。たとえば車両のパワーが上がるほど、ハンドルやシフトの操作はどんどん重たくなっていったり。モータースポーツはコンマ何秒の世界ですから、一瞬の操作の遅れが命取りになりかねないので、そこの差は切実に感じます。

マシンのパワーが高まるほど、操作に必要な力は増していく

 ただ、不利は不利だと思いますけど、そのギャップは比較的小さなものなので、努力とか車の作り方とか、チームの協力で補えるところもある、といったところでしょうか。