シリーズ累計出荷数8000万本超の人気ゲーム「グランツーリスモ(GT)」シリーズの最新作「グランツーリスモ7」(PS4・PS5)が4日、世界で発売されました。
世界中の60以上の自動車ブランドから400種類以上の車種を収録しており、
・トヨタ自動車のアクアやホンダのフィット、マツダのデミオといった市販車から、
・フェラーリの創始者であるエンツォ・フェラーリが自身の生涯の最後に「そのままレースに出られる市販車」と生みだしたF40、
・日本メーカー初のル・マン24時間レース総合優勝を果たしたマツダの787Bといった伝説のレーシングカーまで、
名車の数々がすさまじいまでのグラフィックで表現されています。PS5版はあまりの出来に「マジで本物と見分けがつかなくなっている」という声もあるようです。
「それ、誰が欲しがるの?」
「グランツーリスモ」シリーズは、初代PlayStation向けソフトとして1997年に発売された第一弾から始まります。
当時のレースゲームは、タイヤを横滑りさせてコーナーを曲がる技術「ドリフト走行」の爽快感が味わえるものが中心で、文字通りゲーム性に振ったタイトルが目立っていました。そんな中、「グランツーリスモ」は実在の自動車を“できるだけ再現”した、シミュレーター的な要素を強く押し出して登場します。
同シリーズを制作しているのは、ソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)が100%出資したゲーム開発会社「ポリフォニー・デジタル」。その中でも、同社の代表取締役プレジデントである山内一典さんが中心となって手がけています。SIEの世界戦略に組み込まれたフラグシップ・タイトルです。
山内さんは1992年にソニー・ミュージックエンタテインメントに入社、PlayStationの立ち上げにかかわります。その後、SIEの前身であるソニー・コンピュータエンタテインメントに移籍します。
そのころから、実在する車が出て、本物のように走れるシミュレーション的なレースゲームという企画を出していたものの、返ってきたのは「それ、誰が欲しがるの?」という厳しい言葉でした。先取りしすぎて、企画に時代が追い付いていなかったのです。