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ドリフトドライバーだけでは生計を立てられない

――下田さんの競技車両にはたくさんステッカーが貼ってありますね。多くのスポンサーから支援を受けており、そうした方々から「ドリフト界を変えてくれるんじゃないか」という期待の声も聞かれます。現在のドリフト業界について、課題に感じている部分はありますか?

下田 これから競技を始める人にとって、入りやすい環境を作らないといけないっていうのは強く感じています。今はドリフト業界も高齢化の傾向があって、このまま若い子たちが入ってこないと業界が衰退していってしまうという不安がかなりあるんですよね。

――先のお話でも、ドリフトのドライバーになるルートが確立されていないといったご指摘がありましたが、新規参入のネックになっているのは主にお金の面でしょうか?

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下田 そうですね、まずお金の問題がとても大きくて、日本ではドリフトのドライバー一本で生計を立てるのは難しい現状があります。大会の賞金を見ても、海外のトップクラスでは100万ドルとかの賞金が設定されていることもあるんですが、日本では車を修理するとそれだけで飛んでいっちゃう額なことも珍しくないんですよね。

腕一本で生きていくことが難しい世界だ

――サーキットでの練習にかかる費用を考えると、かなり厳しい環境ですね。

下田 しかも、競技車両を作ることにもかなりのお金がかかります。たとえば私が乗っている車と同じように作ろうとすれば、少なくとも1000万円以上は必要です。あとは、D1グランプリに年間参戦するエントリー費用が40万円とか50万円とか。期間中のスタッフの遠征費なんかを考えると、年間500万円はかかっちゃって……。

 なので、どうしても、資金面はスポンサーさんの支援に頼るような形になります。そういう実情もあって、実力があればプロになれる、というわけではないのが現状なんです。私の師匠のサトケンさん(HYPER DRIVE SCHOOL代表・佐藤謙氏)は「応援したいと思える人柄でないと難しい」という風に言っています。支援してもらえる選手であるかどうかの差は大きいのだと感じます。