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デビュー曲「泣かないぞェ」では「世の中すべてみんな 全部ウソツキ」と…鈴木蘭々(46)が振り返る、“20代の自分が達観しすぎていたワケ”

鈴木蘭々さんインタビュー #2

2022/05/08
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人気絶頂期の、留学の「真相」

――当時、人気絶頂期に留学されたのは驚きとともに受け止められました。

蘭々 23歳の時点で子どもの頃の夢は全部叶った感じで、同時に引き出しの枯渇感もあって。何かを変えたいという思いから留学を決めました。

 念願だったニューヨークへ行って、歌のレッスン、ダンスや語学の勉強。仕事で海外に行くことはあっても、外国で日常生活を送る経験は初めてで、ハプニングも含めて言葉で言い表せないほどすべてが楽しかったです。 

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留学時の鈴木蘭々さん(WOORELL株式会社提供)

――今日伺ったような、当時の蘭々さんのこだわりの強さは魅力でもあったのかなと思うのですが、今の蘭々さんは肩の力が抜けているように見えます。留学は関係あったのかな、と。

蘭々 留学後、ミュージカルの仕事で舞台に立つことになって、思った通りにできないとすべて初めからやり直したがるという「リセット癖」はずいぶん改善されました。

「今、セリフ間違えちゃったから初めからやり直し」なんてことは舞台上では絶対に出来ない(笑)。途中どんなハプニングがあろうと、その都度自分を立て直して進んでいかなきゃならない環境は、私にとってはとても良かったです。舞台の仕事によって自分を変えてもらえた感じ。  

――そのことで、近年再開した歌のほうにも影響が?

蘭々 それがねぇ……舞台でずいぶんといろんな部分が鍛えられたはずなのに、歌になると途端に自分でも嫌になるくらい緊張しちゃって……舞台の10倍くらい! 緊張でうまく歌えないこともあって、ライブをやるたびに落ち込んで、時間を巻き戻してやり直したい感に数日間は苛まれてます(笑)。 

 新型コロナで2年間はライブはお休みせざるを得なかったので、今年は7月にリベンジする予定で、前より少し大きめの会場を押さえました。

 なんかうまくできなくて落ち込んだりする割には、大きな会場を押さえてさらに自分に負荷をかけようとしたり、私は一体何をしようとしてるんだろうと思うことが時々あります(笑)。 自分の無意識に潜む何かを克服しようとしているのかな……。 

 

――今の蘭々さんのYouTubeチャンネルを見ると楽しそうだなと。方向性が定まらないと動画のなかでよくおっしゃってますが、それって周りを気にせずに自分のペース、自分の考えでやっている自由さの表れかなと。

蘭々  YouTubeに関しては本当に方向性が定まっていないだけで、そんなに深い意味はないです(笑)。仕組みを理解したり、世の中について行くためにとりあえずやってみてる感じ。

 今は誰しもが発信者になれるすごい時代が到来していて、今までの倫理や常識が当てはまらなくなってきてるから、私もネットで嫌なものに触れちゃうことがあります。そのせいなのかは分かりませんけど、先日YouTuberに激怒する悪夢まで見ちゃいましたよ(笑)。   

 自由であることって、私にとってとても大切なことだから大事にしたいけど、それなりの覚悟も必要だなと思いますね。 

 今は自分で会社をやったりもしているので考えることも多くて、必ずしもうまくいくことばっかりではないけれど、すべて自分で選んだ道なので。時には息抜きしながら、コツコツやって行こうって感じです。 

 

写真=松本輝一/文藝春秋

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